ポゴスト

ポゴスト（ベラルーシ語: пагост、ロシア語: погост、ウクライナ語: погост）は、歴史的なルーシにおいて、行政と領土を管理する上で重要な役割を果たした単位です。その起源は、キエフ・ルーシ時代に遡り、当初はウロク（諸税）を徴収するための拠点として機能していました。日本語の文献では、「貢物納入所」と訳されることもあります。

ポゴストの設立は、キエフ大公国の公女オリガが、947年にノヴゴロド地方でドレヴリャーネ族に対してウロク徴収のために制定したことに始まります。それ以前は、パリューヂェ（巡回徴貢）という、公がドルジーナ（従士）を率いて各地を巡回し、税を徴収する方法が一般的でした。しかし、945年にドレヴリャーネ族が、ダーニ（貢税）の徴収に抵抗し、オリガの夫であるイーゴリ1世を殺害した事件が、ポゴスト設置の契機となりました。

しかし、ポゴストの概念は時代とともに変化し、複数の集落をまとめた行政・領土単位を指すようになりました。キリスト教が普及すると、ポゴストには教会が建てられ、次第に教会と墓地のある村という意味合いが強くなりました。また、小教区としての機能に加え、交易や移住の中心地としても発展し、共同の祝宴なども催されました。

18世紀から19世紀の中央ロシアでは、ポゴストは教会、墓地、そしてポープ（司祭）やプリーチト（教会職員）の住居がある小さな集落を指す言葉となりました。一方、北部ロシアでは、1775年に廃止されるまで行政区分の名称として使用されていました。さらに、18世紀初頭からは、ポゴストは村の墓地を指す言葉としても使われるようになり、その意味は多岐にわたります。

現代では、多くの集落や地名にポゴストの名が残っており、その歴史的な意義を今に伝えています。ポゴストは、単なる税の徴収所から、地域社会の中心へと変化を遂げ、その歴史の中で、政治、宗教、経済、文化など、多様な側面において重要な役割を果たしました。

参考文献

Дьяченко, Григорий, протоиерей. Полный церковно-славянский словарь. — М., 1993. (репринт) — С.438.
和田春樹編 『ロシア史』 （世界各国史22）、山川出版社、2002年

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