キタキツネ物語

キタキツネ物語

『キタキツネ物語』は、1978年に公開された日本のドキュメンタリー映画であり、初の動物をテーマにした作品として注目を集めました。特に、厳しい環境の中で生きるキタキツネたちの実生活を捉えた内容が、多くの観客の心を捉えました。映画は、北海道のオホーツク海沿岸地域を中心とする北見市、釧路市、網走市、紋別市、小清水町で、4年にわたって撮影されました。1978年7月15日の公開以降、映画は大ヒットを記録し、配給収入は9億7000万円に達しました。また、1979年8月10日にはフジテレビの「ゴールデン洋画劇場」で放送され、驚異的な視聴率44.7%を記録しました。

35周年記念リニューアル版

公開から35年を経た2013年、新たにリニューアルされた映画が公開されました。これは、「公開35周年記念リニューアル版」として、未公開の映像素材を含む全撮影分をデジタル修復し、再編集したものです。音声や音楽もすべて新たに制作され、オリジナル版114分から97分に短縮されました。このリニューアル版は、2013年10月19日に公開され、現代の観客にも新たな感動を与えました。

制作の背景と関係者

本作の企画は、獣医師である竹田津実が担当し、動物監督としてもその活動を行いました。企画および原案は、動物雑誌『アニマ』の編集長である高橋健が手がけました。1973年に発刊された『アニマ』の創刊号で、竹田津がキタキツネに関する記事を掲載したことが、このプロジェクトの発端となりました。高橋は重いテーマに対する提案をサンリオに持ちかけ、その結果、映画の制作が決定されました。

素材映像の収集は4年にかけて行われ、その後、竹田津が飼育していたキタキツネの映像も撮影され、完成へと至りました。

音声キャスト

1978年版では、ナレーションは岡田英次が担当し、モノローグには大林丈史や朱里エイコが参加しました。2013年版では、ナレーションを西田敏行が担当し、声の出演には佐藤隆太、平野綾、松井月杜らが加わりました。

映画の音楽

映画の音楽も、作品の印象に大きな影響を与えました。1978年版では佐藤勝とタケカワユキヒデが音楽を担当し、主題歌「赤い狩人」が特に有名です。2013年版では、山崎まさよしが主題歌を歌い、挿入歌には平野綾やapricotの楽曲も使用されるなど、新たなアプローチがなされました。

関連書籍

また、本作に関連した書籍も数多く出版されています。竹田津実が撮影した『キタキツネ北辺の原野を駆ける』や、同じく竹田津の文と写真による『キタキツネの詩』、さらには高橋健による作品など、多様な内容が揃っています。こうした書籍は、映画とともにキタキツネの魅力を広める助けとなっています。

総括

『キタキツネ物語』は、動物ドキュメンタリー映画の金字塔として、現代においても多くの人々に影響を与えている作品です。その深い内容と美しい映像は、視聴者に自然の厳しさと生きることの尊さを教えてくれます。映画としての成功だけでなく、ドキュメンタリーとしての意義も強く感じられる作品です。

もう一度検索