キネシマ

キネシマは、ロシア連邦イヴァノヴォ州に位置する都市で、ヴォルガ川の右岸に沿って約15kmにわたり広がっています。人口は約7万7千人（2021年時点）で、州都イヴァノヴォに次ぐ規模を誇ります。モスクワからは北東へ約400kmの距離にあります。

歴史

キネシマの地には、かつてフィン・ウゴル系のメリャ人が居住しており、「キネシマ」という地名は、彼らの言葉で「深い水」を意味するとされています。1429年の記録には、タタール人の襲撃を受けた集落の一つとしてその名が初めて登場します。16世紀にはモスクワ大公国の支配下に入り、貴族に与えられたり、ツァーリの所領となったりと、所有者が頻繁に変わりました。また、動乱時代にはポーランド・リトアニア軍による略奪も受けています。

16世紀から17世紀にかけては、ヴォルガ川における漁業の中心地として栄え、特にチョウザメはツァーリの食卓を飾りました。18世紀以降は、イヴァノヴォ州の他の都市と同様に、綿花栽培を基盤とした繊維産業が発展しました。1758年に最初の織物工場が建設され、1777年には都市としての地位を獲得しました。19世紀にはモスクワとの鉄道が開通し、繊維産業に加えて、鉄製品の鋳造や化学工業も発展しました。

産業

今日のキネシマでは、繊維工業、製材業、化学工業が主要な産業となっています。また、ヴォルガ川の水運を利用した港湾輸送も重要な役割を担っています。しかし、ソビエト連邦崩壊後、軽工業は大きな打撃を受け、繊維産業を中心に発展してきたイヴァノヴォ州は、ロシア中央部でも経済的に厳しい地域となっています。

キネシマは鉄道がヴォルガ川を渡る地点でもあり、シベリア鉄道へ向かう列車の一部が経由します。モスクワのヤロスラヴリ駅から鉄道で約9時間で到着します。2003年には新たな道路橋が完成し、対岸への交通アクセスが大幅に改善されました。市内では私営のミニバスが公共交通機関として運行しており、他都市間では大型観光バスが利用されています。

観光

キネシマには、1838年から1845年にかけて建設された新古典主義様式の至聖三者大聖堂をはじめ、18世紀に建てられた教会が点在しています。また、近郊には、劇作家アレクサンドル・オストロフスキー、作曲家アレクサンドル・ボロディン、天文学者フョードル・ブレディキンの旧邸宅があり、博物館として公開されています。これらの場所は、キネシマの豊かな歴史と文化を物語る貴重な観光資源となっています。

キネシマは歴史と産業、そして文化が融合した魅力的な都市です。ヴォルガ川の美しい風景とともに、ロシアの歴史と文化に触れる旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

もう一度検索