キビヒトリシズカ

キビヒトリシズカ (吉備一人静)

キビヒトリシズカ（学名: Chloranthus fortunei）は、センリョウ科チャラン属に属する多年草の一種です。日本を含む東アジアに分布し、特にその独特な形態と希少性から注目されています。

特徴

キビヒトリシズカは、高さ15–50 cmにまで成長します。短い地下茎から数本の茎が直立し、茎の上部に特徴的な葉をつけます。以下に、その主な特徴をまとめます。

• - 葉: 茎の先端付近に通常4枚の葉が輪生状につきます。葉身は広楕円形から卵状楕円形で、大きさは5–13 × 2.5–8 cm程度。葉の縁には鋭い鋸歯があります。
• - 花: 花期は4–5月で、茎の頂点から白いブラシ状の穂状花序が1本伸びます。花は花被を欠き、3本の細長い雄しべの葯隔が白く目立ちます。葯隔の長さは8–12 mm。
• - 果実: 果期は5–6月で、淡緑色の倒卵状球形の果実をつけます。果実の長さは約3 mm。

ヒトリシズカとの違いとして、キビヒトリシズカは雄しべの葯隔がより長いことが挙げられます。ヒトリシズカの葯隔長は3–5 mmであるのに対し、キビヒトリシズカは8–12 mmです。

分布と生育環境

キビヒトリシズカは、日本（瀬戸内海沿岸から九州北部）、朝鮮半島南部、中国中部に分布しています。主に山野の林内に生育します。

保全状況

日本では、生育環境の減少や園芸目的の乱獲により個体数が減少し、絶滅危惧II類 (VU) に指定されています（2020年現在）。

各都道府県のレッドデータブックにおけるカテゴリー

• - 絶滅危惧I類: 和歌山県、岡山県、山口県、福岡県、長崎県
• - 絶滅危惧II類: 兵庫県、広島県、香川県
• - 情報不足: 愛媛県

利用

キビヒトリシズカは有毒植物ですが、中国では薬用に利用されることがあるようです。

まとめ

キビヒトリシズカは、その美しい姿と希少性から保護が求められている植物です。生育環境の保全や乱獲の防止が重要な課題となっています。

学名: Chloranthus fortunei

科: センリョウ科 Chloranthaceae

属: チャラン属 Chloranthus

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