キャデラック・CT4

CT4

CT4は、アメリカ合衆国の自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）が、その高級車部門であるキャデラックブランドのもとで製造・販売しているコンパクトセダンです。

概要

先行モデルであったキャデラックATSの後継車種として開発されたCT4は、まず2019年5月に高性能モデルとなる「CT4-V」が発表され、同年9月には標準モデルがアメリカ本国で正式にデビューしました。生産は、アメリカ国内にあるミシガン州ランシングのランシンググランドリバー工場と、中国市場向けのSAIC-GM金橋工場で行われています。

モデルバリエーションとしては、ベーシックな「ラグジュアリー」、装備を充実させた「プレミアムラグジュアリー」、スポーティーな内外装を持つ「スポーツ」、そして高性能版の「CT4-V」（Vシリーズ）という主要な4タイプがラインナップの中心を占めていました。

エンジン

標準モデルに搭載されるエンジンは、基本的に2種類のターボチャージャー付き直列4気筒エンジンが用意されました。一つは2.0リッターユニットで、最高出力237馬力（177kW、240PS）、最大トルク350Nm（258lb・ft）を発揮します。もう一つは、主に「プレミアムラグジュアリー」グレードなどに設定された2.7リッターユニットで、最高出力310馬力（231kW、314PS）、最大トルク475Nm（350lb・ft）を発生させました。

また、中国市場においては、2023年に新たに1.5リッターターボチャージャー付き直列4気筒エンジンがラインナップに追加されました。このエンジンは、最高出力208馬力（155kW; 211PS）、最大トルク270Nm（199lb・ft; 28kg⋅m）を発揮する仕様でした。しかし、このCT4は中国市場における販売が2024年をもって終了しています。

CT4-V

キャデラックは、2019年5月30日に発表されたCT5-Vと共に、高性能なVシリーズモデルとしてCT4-Vを披露しました。このモデルには、最高出力325馬力（242kW; 330PS）、最大トルク515Nm（380lb⋅ft; 53kg⋅m）を発生する2.7リッターターボチャージャー付き直列4気筒エンジンが搭載されています。

CT4-V ブラックウィング

CT4-Vブラックウィングは、先行するATS-Vの後継にあたる、CT4シリーズの頂点に位置する超高性能モデルです。パワートレインには、3.6リッターのツインターボV型6気筒エンジンが採用され、最高出力472馬力（352kW; 479PS）、最大トルク603Nm（445lb⋅ft; 62kg⋅m）という圧倒的な性能を発揮します。トランスミッションは、エンスージアストに嬉しい6速マニュアルトランスミッションが標準装備されており、オプションで素早い変速が可能な10速オートマチックトランスミッションも選択可能でした。

その加速性能も特筆もので、静止状態から時速60マイル（約97km/h）までの加速タイムは、オートマチックトランスミッション搭載車で3.9秒、マニュアルトランスミッション搭載車で4.2秒と公表されています。最高速度は304km/h（189mph）に達します。CT4-Vブラックウィングは、2021年初頭に限定予約注文の形式で発売されました。キャデラックは、このCT4-Vブラックウィングと同時に発表されたCT5-Vブラックウィングが、ガソリンエンジンを搭載したVシリーズモデルとしては最後の世代になることを示唆しています。

車名の由来

「CT4」という車名は、「Cadillac Touring 4」の略称であるとされています。

キャデラックCT4は、ATSの血統を受け継ぎつつ、多様な市場ニーズに応えるバリエーション展開と、キャデラックの高性能モデルの伝統を継承するVシリーズ、特にブラックウィングという究極のモデルを擁したセダンシリーズでした。生産拠点は米国と中国にありましたが、中国市場からは撤退しています。特にブラックウィングモデルは、電動化への移行が進む中で、ガソリンエンジン搭載の高性能キャデラックセダンとして歴史に名を刻むことになります。

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