キャラクターモデル

キャラクターモデルとは

キャラクターモデルとは、映画、アニメ、ゲーム、漫画などに登場する架空のメカ、怪獣、人物などを再現した模型、特にプラスチックモデル（プラモデル）を指します。実物を縮小したスケールモデルと対比されることが多く、「キャラクターキット」「マスコミモデル」「アニメモデル」といった別称も存在します。

概要

キャラクターモデルは、フィクション作品に登場するキャラクターを立体化したもので、その外見だけでなく、作品の世界観や設定も反映されています。著作権で保護されたデザインのメカ、怪獣、小道具なども含まれ、元々作品が存在しないメーカーオリジナルの模型でも、SF風のデザインであればキャラクターモデルとして扱われることが一般的です。

キャラクター模型の形態は多様化しており、レジンキャストキット、ソフビキット、バキュームフォームキットなどのガレージキットも存在します。中でも、金型射出成型によるプラモデルはインジェクションキットと呼ばれることもあります。

日本のキャラクターモデルの歴史

黎明期

日本最初のキャラクターモデルは、1960年に今井科学が発売した「鉄人28号」のプラモデルです。この成功を皮切りに、多くのキャラクターモデルが登場しました。

初期のキャラクターモデルを手がけた主なメーカーは、マルサン商店、今井科学、緑商会、日東科学教材などです。今井科学は「鉄人28号」以降、アニメや漫画のキャラクター、007シリーズのメカなどのプラモデルを発売しました。これらの初期モデルは玩具としての側面が強く、走行や変形などのギミックが重視され、一部にはカレンダーを内蔵した実用的なモデルも存在しました。1967年以降のサンダーバードシリーズは大きなヒットを記録しました。

マルサン商店は、1960年代半ばの怪獣ブームに乗じて、ゴジラやウルトラシリーズの怪獣やメカをモデル化しました。しかし、ブームの終焉とともに今井科学とマルサン商店は経営が悪化し、1968年に倒産しました（後に両社とも復活）。

サンダーバードなどの金型の一部はバンダイに売却され、バンダイはその後、玩具だけでなくプラモデルの製造にも参入しました。1973年の「マジンガーZ」はキャラクタービジネスとして大成功を収め、アニメや特撮番組のメインスポンサーが玩具メーカーとなり、番組に登場するキャラクターの玩具やプラモデルを販売するというビジネスモデルが確立されました。

プロポーションの重視

当時のキャラクターモデルはあくまで玩具であり、プロポーションよりもギミックが重視されていましたが、ユーザーの年齢層が上がるにつれて、より精密なプロポーションが求められるようになりました。優れたプロポーションのモデルも存在しましたが、ギミックのためにゼンマイやタイヤの穴が開いているなど、純粋なプロポーション重視のモデルではありませんでした。

「宇宙戦艦ヤマト」の影響

1974年の「宇宙戦艦ヤマト」は、当初視聴率が低迷しましたが、再放送で人気が上昇し、劇場版の公開に合わせてバンダイから発売されたプラモデルは、ゼンマイを廃止し、第三艦橋を再現するなど、ファンの要望に応えた仕様となりました。1978年には完全新作の劇場版に合わせて、ギミックを廃したディスプレイモデルが発売され、スケールモデルの手法を取り入れた初のキャラクターモデルと呼べるものとなりました。

「機動戦士ガンダム」の登場

1979年の「機動戦士ガンダム」も当初は視聴率が低迷しましたが、放送終了後、バンダイがプラモデル（ガンプラ）を発売したところ、大ヒットを記録しました。このガンプラの最大の特徴は、統一スケールの概念をキャラクターモデルに取り入れたことです。それまでのキャラクターモデルでは、スケール表示は一般的ではありませんでしたが、ガンプラの発売を機にスケール表示が普及し、1/1|1_100や1/1|1_144スケールが標準となりました。

リアルロボットブーム

ガンダムの成功により、リアルロボットアニメブームが起こり、多くメーカーがキャラクターモデルに参入しましたが、期待したほどの売り上げを上げることができず、多くのメーカーが撤退しました。しかし、その中でいくつかの作品はヒットし、キャラクターモデル市場を活性化させました。

1990年代以降の動向

1990年代には、バンダイによる寡占状態となり、ガンダム以外のキャラクターモデルはヒットしにくい状況となりました。しかし、1990年代後半からは、スケールモデルメーカーがキャラクターモデルに参入し始め、ガレージキット市場も拡大しました。WAVEやコトブキヤといったメーカーがプラモデルに参入し、ガンダムの人気も根強く、キャラクターモデル市場は再び活況を呈し始めました。

美少女プラモデルの台頭

2010年代後半には、各社から美少女プラモデルが相次いで発売され、キャラクターモデルの新たなジャンルとして確立しました。背景には、海外生産への移行によるコスト上昇や、PVC製フィギュアの製造コストの高騰があり、人件費の影響を受けにくいプラモデルに活路を見出したことが挙げられます。

日本国外のキャラクターモデル

日本以外では、玩具メーカーがテレビ番組のメインスポンサーとなることは稀ですが、人気のある映画やテレビ番組のキャラクターモデルが発売されています。

アメリカでは、mpc社がスター・ウォーズの旧三部作、AMT社がスタートレックのプラモデルを発売していました。モノグラム社は宇宙空母ギャラクティカのキットを発売しました。

レベル社は、日本のロボットアニメを再構成した「ロボテック」のアメリカ放映に合わせて、日本のキャラクターモデルをOEMで発売しました。イギリスのエアフィックス社は、007シリーズやキャプテン・スカーレットのプラモデルを発売しました。

また、アメリカのオーロラ社は、1950年代からキャラクターモデルを発売し、スーパーマン、バットマン、ドラキュラなどのキットが人気を博しました。オーロラ社は活動を停止しましたが、その金型はモノグラム社に移管され、ムービーモンスターシリーズなどが再発売されました。ポーラー・ライツ社やメビウス社がオーロラの金型を利用した復刻品や新作キットを発売しています。

イギリスのシタデル社は、ウォーハンマー用のミニチュアを製造しています。中国では、コピー商品も横行していますが、独自のキャラクター製品も数多く登場しており、ECサイトを通じて日本にも販売されています。

キャラクターモデルのスケール

初期のキャラクターモデルでは、スケール表示はあまり一般的ではありませんでした。しかし、ガンダム以降はスケール表示が主流となり、1/1|1_100や1/1|1_144スケールが標準となりました。これらのスケールは、航空機モデルでよく使われるスケールが採用されたことがきっかけですが、ガンダムの設定サイズを元に計算された結果、1/1|1_100や1/1|1_144スケールが採用されました。

現在、キャラクターモデルでよく使われるスケールは、1/20、1/24、1/35、1/48、1/72、1/1|1_100、1/1|1_144、1/700など、スケールモデルと共通するものが多いですが、1/60、1/550、1/1|1_1700など、スケールモデルではあまり見られないものも含まれています。また、美少女プラモデルでは、1/1|1_12スケールがデファクトスタンダードとなっています。

メーカーオリジナルモデル

初期のオリジナルモデル

アニメや漫画に登場しないメーカーオリジナルのモデルも、初期のプラモデルから多数存在しています。これらのモデルは、車やボートに大砲やミサイルを加えたものから、独自の戦車、宇宙船、ロボットなど、形態は多岐にわたります。緑商会のモグラスシリーズのような「ドリル戦車」は特に人気が高く、モーターやゼンマイで動いたり、合体、変形するギミックを持ったものも多く存在しました。

また、人気作品に似たオリジナルモデルも多く登場しました。ガンプラ最盛期には、「モビルフォース ガンガル」や「太陽系戦隊 ガルダン」といった製品が登場しましたが、これらは既存のキットを流用したり、箱絵だけをリニューアルしたものも少なくありませんでした。

リアルロボットブーム時には、多くのメーカーが版権付きのキャラクターモデルに参入した反動で、オリジナルモデルの生産は一時的に減少し、版権元の監修が無い分、自由な発想で製品開発が行われていた。

美少女プラモデルの台頭

2009年からコトブキヤがオリジナルの「フレームアームズ」シリーズをスタートし、2015年からは派生シリーズの「フレームアームズ・ガール」をリリースしたことをきっかけに、美少女プラモデルというジャンルが確立しました。このジャンルの登場により、再び各社からオリジナルモデルが多数リリースされるようになりました。

背景には、海外生産への移行によるPVC製フィギュアの製造コストの上昇や、人件費の影響を受けにくいプラモデルへのシフトという要因がありました。コトブキヤの「メガミデバイス」やマックスファクトリーの「ギルティプリンセス」など、各メーカーが多様な美少女プラモデルをリリースしており、この状況は一部で「戦国時代」とも揶揄されています。中には、アクションフィギュアとプラモデルが同梱された製品も登場しています。

関連項目

キャラクタービジネス

参考文献

日本プラモデル工業協同組合編 『日本プラモデル50年史』 文藝春秋企画出版部、2008年　ISBN 978-416008063-8

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