キャロル郡 (メリーランド州)

メリーランド州キャロル郡の概要



キャロル郡は、アメリカ合衆国メリーランド州に位置する郡であり、ボルチモア都市圏およびワシントン・ボルチモア・北バージニア広域都市圏の一部を形成しています。郡庁所在地はウェストミンスターで、郡内で最も人口が多いのはエルダーズバーグです。この地域は、現在も田園風景が広がっていますが、近年は郊外化が進展しています。

歴史



1837年、キャロル郡はボルチモア郡とフレデリック郡の一部を統合して設立されました。郡の名前は、アメリカ独立宣言の署名者であるキャロルトンのチャールズ・キャロル（1737年-1832年）に由来します。南北戦争時代には、郡民は北軍支持者と南軍支持者に分かれ、対立しました。1863年には、ゲティスバーグ方面作戦の一環として、郡内を多くの部隊が移動しました。特に、6月29日にはウェストミンスターで「コービットの突撃」と呼ばれる騎兵同士の小規模な衝突が発生しました。この戦いでは、デラウェアの騎兵2個中隊が、南軍のJ・E・B・スチュアート将軍率いる大部隊に攻撃を仕掛けました。2013年、キャロル郡郡政委員会は、英語を郡の公式言語とすることを決定しました。

地理



キャロル郡はピードモント台地に位置し、丘陵地帯と落葉樹林が特徴です。パーズリッジと呼ばれる隆起が郡を南西から北東に二分しており、郡内最高地点は北東部のダグヒルです。郡の北側はペンシルベニア州との州境であるメイソン＝ディクソン線です。南側はパタプスコ川南支流がハワード郡との境界をなし、東側はパタプスコ川北支流とリバティ貯水池がボルチモア郡との境界の一部を形成しています。西側はモノカシー川とサムズ・クリークがフレデリック郡との境界となっています。主要な河川には、ビッグパイプ・クリーク、リトルパイプ・クリーク、ダブルパイプ・クリーク、ベアブランチなどがあります。また、南部にはパイニーラン貯水池があります。郡全体の面積は452.40平方マイル（1,171.7 km2）で、そのうち陸地は449.13平方マイル（1,163.2 km2）、水域は3.27平方マイル（8.5 km2）です。

交通



郡内には3本の鉄道が通っています。旧ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道のメインラインが南部を東西に横断し、サイクスビルやマウントエアリーにはかつての駅舎が残っています。ウェスタン・メリーランド鉄道の本線は、南東から北西へ、キャロルトン、ウェストミンスター、ニューウィンザー、ユニオンブリッジを通っています。旧ボルチモア・アンド・ハノーバー鉄道は、ハンプステッド、ミラーズ、ラインボロを経由して東へと続いています。現在、ウェスタン・メリーランド鉄道の本線はメリーランド・ミッドランド鉄道が運営し、他の2線はCSXトランスポーテーションが運営しています。

主要高規格道路



隣接する郡


  • - 北東：ヨーク郡（ペンシルベニア州）
  • - 東：ボルチモア郡
  • - 南：ハワード郡
  • - 西：フレデリック郡
  • - 北西：アダムズ郡（ペンシルベニア州）

人口動態



2000年の国勢調査によると、郡の人口は多様な構成を持っています。また、2007年の時点では、人口65,000人から25万人の郡の中で、国内で10番目に豊かな郡とされています。

経済



ジョス・A・バンク・クロージャーズが、ハンプステッドに近い未編入地域に本社を置いています。

芸術と文化



郡内には多くのアメリカ合衆国国家歴史登録財が存在します。

郡政府



キャロル郡は、メリーランド州の伝統的な郡政府形態である郡政委員会によって統治されています。過去には、政府形態を郡執行官と郡政委員会の方式に変えることを住民に問うたことがありますが、いずれも否決されました。キャロル郡は、共和党を強く支持する傾向があり、ボルチモア・ワシントン大都市圏にある他の郡とは異なります。

郡政委員会



2004年の郡民投票で、郡政委員会の委員数を3人から5人に増やすことが承認されました。これにより、5つの選挙区から選出されることになりました。この変更は、2010年の選挙から有効となりました。

警察



郡の警察機能は、キャロル郡保安官事務所、メリーランド州警察が担当しており、さらにいくつかの自治体も独自の警察組織を持っています。保安官事務所は、警察機能に加えて裁判所関連の業務も行っています。2007年、郡政委員会は郡警察部を創設することを決定しました。これにより、警察部は主に法の執行を担当し、保安官事務所は裁判所の業務を継続することになりました。

家庭支援サービス



メリーランド州中部家庭・子供のサービスが、郡内の家族や個人に対して、カウンセリング、トラウマ治療、家庭内暴力犠牲者の支援などを提供しています。これは民間の非営利団体であり、ウェストミンスターに事務所を構えています。

教育



キャロル郡公共教育学区は、州内で9番目の規模を誇ります。

メディア



郡内の主要な新聞は『キャロル・カウンティ・タイムズ』です。

著名な出身者



アメリカ合衆国の国歌『星条旗』の作詞者であるフランシス・スコット・キーは、現在のキャロル郡北西部で生まれました。

大衆文化の中で



キャロル郡は、1997年の映画『For Richer or Poorer』や1999年の映画『プリティ・ブライド』の舞台として使用されました。また、2003年の映画『ヒップホップ・プレジデント』では、クリス・ロックがノースキャロル中学校の前で演説を行うシーンが撮影されました。

都市と町



郡内には2つの市と6つの町が存在します。

都市


  • - ウェストミンスター（1818年法人化） - 郡庁所在地
  • - トーニータウン（1836年法人化）

町


  • - マンチェスター（1834年法人化）
  • - ニューウィンザー（1843年法人化）
  • - ユニオンブリッジ（1872年法人化）
  • - ハンプステッド（1888年法人化）
  • - マウントエアリー（1894年法人化、フレデリック郡、モンゴメリー郡、ハワード郡にも跨る）
  • - サイクスビル（1904年法人化）

国勢調査指定地域


未編入の地域も「町」とみなされることがありますが、政府組織は存在しません。これらの地域は、国勢調査局などによって定義されます。


未編入の町


その他、多くの未編入の町が存在します。

脚注



外部リンク

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