キャンプ・ドレイク

キャンプ・ドレイク：歴史と変遷

キャンプ・ドレイクは、埼玉県和光市、朝霞市、新座市、東京都練馬区にまたがる広大な米軍基地でした。その起源は、旧日本軍の施設に遡り、戦後の米軍駐留を経て、現在は大部分が返還され、跡地は様々な形で再利用されています。

基地の構成と名称の由来

キャンプ・ドレイクは、「キャンプ・ノース」と「キャンプ・サウス」の2つのエリアで構成されていました。総面積は約4.5平方キロメートルにも及びます。ドレイクという名称は、1945年のマニラの戦いで戦死したアメリカ陸軍第一騎兵師団の大佐、ロイス・A・ドレイクに由来します。

キャンプ・ノース：陸軍被服廠から米軍基地へ

キャンプ・ノースは、旧帝国陸軍の被服廠跡地に建設されました。この地は、東武東上線や幹線道路が近く、輸送に適していたため、軍需工場が集積していました。戦後、米軍に接収され、リトルペンタゴンと呼ばれた情報部隊本部や通信施設が設置されました。朝鮮戦争時には、多くの兵士が前線へ送られ、帰還兵の休暇地ともなりました。また、ベトナム戦争時には野戦病院が建設され、多くの傷病兵が収容されました。これにより、基地周辺は騒然とし、治安が悪化した時期もありました。

返還と跡地利用

キャンプ・ノースは、1976年から1986年にかけて段階的に返還されました。返還後、跡地は、朝霞中央公民館、朝霞市立図書館、朝霞中央公園野球場、青葉台公園、小中学校、高等学校などに転用されています。また、一部は東京地下鉄和光検車区や集合住宅として利用されています。1980年代には、人気ドラマのロケ地としても利用されました。

キャンプ・サウス：ゴルフ場から陸軍予科士官学校へ

キャンプ・サウスは、かつて東京ゴルフ倶楽部があった場所に建設されました。このゴルフ場は、当時としては珍しい豪華な施設を備えていましたが、1941年に陸軍に買収され閉鎖されました。その後、陸軍予科士官学校が移転し、多くの士官候補生が学びました。また、未完成に終わった巨大な大仏と梵鐘の建設計画もありました。

返還と跡地利用

キャンプ・サウスは、1973年から1978年にかけて段階的に返還されました。跡地には、陸上自衛隊朝霞駐屯地をはじめ、多くの公共施設や住宅が建設されました。和光市内には、理化学研究所、司法研修所、裁判所職員総合研修所、国立保健医療科学院などが設置されています。現在、一部はAFNの送信施設として利用されています。

進駐後の文化交流と問題

米軍駐留時代には、基地周辺に多くの飲食店や娯楽施設ができました。また、基地内では、ジャズ演奏が盛んに行われ、日本のジャズ普及に貢献しました。一方で、米兵による暴力事件や麻薬問題、売春問題など、様々な問題も発生しました。また、基地従業員の労働問題なども発生し、住民との摩擦もありました。

オリンピック村構想

1964年の東京オリンピック開催にあたり、キャンプ朝霞を選手村として一時利用する計画がありました。しかし、米軍との調整が難航し、最終的には実現しませんでした。その代わりに、射撃競技場や馬術競技場として一部が利用されました。

自衛隊体育学校の設置

1960年には、南キャンプ内に陸上自衛隊が駐屯し、翌年には自衛隊体育学校が設立されました。オリンピックで活躍した多くの選手が在籍し、日本のスポーツ振興に貢献しました。

現在の姿

キャンプ・ドレイクの跡地は、現在では、公園や学校、住宅地、公共施設などに姿を変え、地域の生活を支える重要な役割を担っています。しかし、その歴史は忘れられることなく、様々な形で語り継がれています。

沿革

1932年：東京ゴルフ倶楽部が移転開設。
1935年：陸軍被服廠が設置される。
1940年：陸軍省により買収。
1941年：東京ゴルフ倶楽部閉場。陸軍予科士官学校移転。
1945年：米軍が進駐。
1950年：朝鮮戦争勃発。第一騎兵師団が派遣。
1960年：陸上自衛隊が駐屯。
1973年～1986年：段階的な返還。

脚注

朝霞市発行『朝霞市史』通史編 1989年
朝霞市発行市制施行30周年記念『あさかの歴史』1997年
和光市発行『和光市史』通史編下巻昭和63年3月5日
その他多数

外部リンク

朝霞市公式ウェブサイト
市民が集めた朝霞の歴史 Asaka History Gallery
Asaka Camp Drake history Photo Map
理研ニュース
life's little adventures
朝霞市の基地跡地利用
和光市基地跡地利用計画
1st Cavalry Division History - Occupation of Japan 1945-1950

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