キューバ侵攻 (1741年)

キューバ侵攻（1741年）

1741年8月4日から12月9日にかけて、ジェンキンスの耳の戦争中にイギリス軍がキューバに侵攻しました。エドワード・ヴァーノン提督率いる艦隊と、トマス・ウェントワース少将率いる陸軍は、キューバ沖に到着し、カンバーランド湾に上陸して橋頭堡を築きました。

背景

ヴァーノン提督は、カルタヘナ・デ・インディアスの海戦でカルタヘナを占領しようとしましたが、失敗に終わっていました。彼の軍勢はすでに病気で弱体化しており、士気も低下していましたが、キューバ島への侵攻を決断しました。キューバ島の南部と東部は人口が少なく、首都ハバナからも遠いため、占領可能だと考えたのです。

ヴァーノンの遠征隊

遠征隊の陸軍は、カルタヘナでの敗残兵であるイギリス軍と北米植民地軍3,000名、そしてジャマイカの黒人兵1,000名で構成されていました。海軍は、旗艦ボインをはじめとする多数の軍艦と輸送船からなっていました。

戦列艦: ボイン、カンバーランド、グラフトン、ケント、モンタギュー、ティルベリー、ウスター、チェスター、タイガー
フリゲート: エクスペリメント（20門）、シーアネス（20門）、ショアハム（20門）
臼砲艦: アルダニー
火船: フェートン、ストロムボロ
スループ: ボネッタ、トライトン
病院船: プリンセス・ロイヤル、スカーバラ
テンダーボート: ポンペイ
輸送船: 40隻

遠征軍はポート・ロイヤルを出発し、サンティアーゴ・デ・クーバの占領を目指しました。

戦闘の経過

8月4日から5日にかけての夜、イギリス正規軍とジャマイカからの黒人兵1,000名は、グアンタナモ湾の砂浜3か所に上陸しました。抵抗を受けなかったため、上陸軍は進軍を開始し、ラ・カタリナの集落に向かおうとしました。しかし、3日後、目的地まで残り105キロメートルの地点で、指揮官のトマス・ウェントワース少将は進軍を遅らせました。

当時のサンティアーゴ総督フランシスコ・カヒガル・デ・ラ・ベガ、駐留軍指揮官カルロス・リバ・アゲロ、そして現地の民兵隊指揮官ペドロ・ゲレーロは、正規軍350名と民兵600名しか有していなかったため、撤退しました。しかし、イギリス軍は疲労と疫病に苦しみ、4か月間も進軍を再開することができませんでした。その間、スペイン軍はゲリラ戦を展開しました。ヴァーノン提督はウェントワース少将の行動の遅さに怒りましたが、艦隊を危険に晒したくなかったため、艦隊に巡航を命じるにとどまりました。疫病に倒れる兵士が増加の一途をたどり（12月5日までに2,260名が熱病を発症）、ついに上陸軍は撤退を決意し、乗船して12月9日の夜明けに出航、10日後にポート・ロイヤルに帰還しました。

その後

ヴァーノン提督の遠征は、多くの損害を出したにもかかわらず、何の成果も上げることができませんでした。この失敗により、ヴァーノン提督の名声は失墜し、1742年に帰国を余儀なくされました。

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