キルキス県

キルキス県は、ギリシャ共和国の中央マケドニア地方に属する行政区であり、県都はキルキス市です。地理的には、ペコ山脈、ケルキニ山脈、クルシア山脈といった山々が連なり、北部にはドイラニ湖が存在します。この地域は、東にセレス県、南にテッサロニキ県、西にペラ県と接し、北はマケドニア共和国と国境を共有しています。

気候は、アクシオス川流域の南部は温暖な地中海性気候ですが、高地部では冬の厳しい大陸性気候となります。この気候の多様性は、地域の生態系や農業に影響を与えています。

歴史を振り返ると、この地域はマケドニア王国に征服される以前は、様々な王国が存在していました。その後、ローマ帝国の支配下に入り、東西分裂後は東ローマ帝国、ブルガリア帝国、ラテン帝国、ビザンツ帝国と、支配者が次々と変わりました。オスマン帝国に併合されてからは約500年間、その支配下にありました。

19世紀末には、マケドニア抗争が起こり、ギリシャ人とブルガリア人の間で激しい衝突が起きました。第一次バルカン戦争後、この地域の一部はブルガリア領となりましたが、続く第二次バルカン戦争でギリシャ王国が占領し、併合しました。その後、北部マケドニア地方や北トラキア地方からのギリシャ人移住と、ブルガリア人の移住という民族移動を経て、ギリシャ語話者が多数派となりました。また、希土戦争後には小アジアからのギリシャ人も移住しました。

1939年まで、キルキス県はテッサロニキ県の一部でしたが、分割され現在の形になりました。第二次世界大戦とギリシャ内戦では大きな被害を受けましたが、戦後に復興を遂げました。その後、人口は増加しましたが、海外への移住も進んでいます。1972年には、国道1号線が開通し、交通の便が向上しました。

行政区画としては、キルキス県は複数の自治体（ディモス）から構成されています。カリクラティス改革以前は、より多くの基礎自治体がありましたが、改革によって統合されました。これらの自治体は、それぞれ独自の歴史と文化を持っています。また、以前は郡（エパルヒア）も存在しましたが、現在は法的な位置づけはありません。

主要な交通手段として、国道1号線（欧州自動車道路E75号線）と国道65号線があります。これらの道路は、地域内だけでなく、周辺地域との交通を円滑にしています。キルキス県は、豊かな自然、多様な歴史、そして交通の便の良さから、ギリシャの中でも重要な地域の一つとなっています。

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