キングストンタウン

キングストンタウンは、1979年から1982年にかけてオーストラリア競馬界を席巻した伝説的名馬です。その輝かしい競走生活は、デビュー戦での最下位というまさかの結果から始まりました。神経質な気性と、生まれつき曲がっていた脚が、その後の競走生活に影を落とすことになるのです。しかし、去勢手術を受けた2戦目以降は別馬のように生まれ変わり、驚異的な強さを発揮するようになります。

1980年代、キングストンタウンはオセアニア最強馬として君臨しました。特に右回りのコースを得意とし、シドニー開催ではデビュー戦を除き、1982年のチェルムスフォードステークスで敗れるまで無敗を誇ります。コックスプレートでは3連覇という偉業を達成するなど、数々のG1競走を制し、その勝利数は14に及びます。AJCダービーやシドニーカップといったオーストラリアを代表するレースも制覇しました。これらの活躍により、オーストラリア競馬の殿堂入りを果たしています。

一方、左回りのコースは得意とはせず、メルボルンカップでは勝利を掴むことができませんでした。これは、生まれつきの脚の曲がりによって、左回りのコースでは負担が大きかったためだと考えられています。

1983年にはアメリカ遠征を予定していましたが、持病である屈腱炎が悪化し、出走することなく引退を余儀なくされました。この屈腱炎も、脚の曲がりによる負担が原因の一つとして指摘されています。

引退後は、数々の記念行事に参加するなど、功労馬として余生を過ごしました。しかし、1991年、脚の故障が悪化し、安楽死の処置がとられました。その生涯は、華々しい勝利と、生まれつきの体格による苦悩、そしてそれを乗り越えようとする不屈の精神が入り混じったものでした。

キングストンタウンの競走成績は、オーストラリア競馬史に燦然と輝くものですが、その背景には、繊細な気性と、克服できなかった体のハンデがありました。それでも、彼は数々のレースで勝利を掴み取り、オーストラリア競馬界に大きな足跡を残したのです。その強さと優しさは、今も多くの競馬ファンに語り継がれています。彼の足跡は、オーストラリア競馬の殿堂のページで、レース映像と共に確認できます。また、JBISサーチでも詳細な競走馬成績と情報が確認できます。キングストンタウンの生涯は、私たちに、勝利への執念と、体の限界と向き合うことの大切さを教えてくれます。まさに、オーストラリア競馬界のレジェンドと呼ぶにふさわしい、一頭の競走馬でした。

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