キングズ・キャニオン国立公園

キングズ・キャニオン国立公園は、シエラネバダ山脈南部に位置するアメリカ合衆国の国立公園です。その名は「国王の谷」を意味し、1940年に設立されました。公園の広さは約1,869平方キロ[[メートル]]に及び、年間50万人以上の人々が訪れます。セコイア国立公園と隣接しており、両公園は一体として管理され、「セコイア・キングズ・キャニオン国立公園」という名称で知られています。また、ユネスコの生物圏保護区にも指定されています。

公園は大きく分けて二つの地区から構成されています。一つはグラントの森地区で、有名なグラント将軍の木があることで知られています。ここには、世界最大級のジャイアントセコイアの森であるレッドウッド山があり、15,800本ものセコイアが生息しています。この地域は針広混交林が広がり、舗装道路が整備されているためアクセスが容易です。

もう一つの地区は、公園の総面積の9割以上を占め、グラントの森の東に位置します。この地域には、キングズ川の支流であるサウスフォークとミドルフォーク、そしてサンワーキン川の支流サウスフォークの源流があります。特に、キングズ川のサウスフォークが形成するキングズ・キャニオンは、深さ2.4kmに達し、アメリカで最も深い峡谷として知られています。この峡谷は氷河によって花崗岩が削られて形成されました。キングズ・キャニオンの奥にあるセダー森は、自動車でアクセスできる公園の主要部です。また、ミドルフォーク川沿いにはテヒピテ峡谷があり、氷河によって形成された深い谷と切り立った花崗岩の崖が特徴です。

峡谷の東側には、シエラ・クレストの高峰が連なり、その最高峰はノース・パリセード（4,341m）です。この地域は高山地帯で、荒涼としたツンドラの尾根や氷河湖が見られます。雪が解ける6月下旬から10月下旬にかけてのみ、ハイキングや乗馬で訪れることができます。シエラネバダ山脈の尾根は、北のゲーテ山から南のセコイア国立公園との境界まで、公園の東端を形成しており、ビショップ峠、タブース峠、ソーミル峠、キアサージ峠などの標高3,400メートルを超える峠を越えて公園にアクセスできます。

キングズ・キャニオンは、1800年代半ばには白人入植者に知られていましたが、1873年にジョン・ミューアが訪れるまで注目されることはありませんでした。ミューアは、この峡谷がヨセミテ峡谷に似ていることに気づき、両峡谷が氷河によって形成されたという自身の理論を裏付けると考えました。この理論は、当時有力であったジョサイア・ホイットニーの説と対立しましたが、後に正しいことが証明されました。

キングズ・キャニオンの未来は、ダム建設の計画と公園としての保護を求める動きの間で、長らく不確かでした。しかし、1965年に峡谷がテヒピテ峡谷とともにグラントの森国立公園に編入され、公園として保護されることが決定しました。現在では、セダー森のセコイアの保護にも力が入れられています。

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