キング・オブ・スタテンアイランド

キング・オブ・スタテンアイランド

『キング・オブ・スタテンアイランド』（原題: The King of Staten Island）は、2020年にアメリカ合衆国で製作されたドラマ映画です。ジャド・アパトーが監督を務め、主演のピート・デイヴィッドソン自身の半生を色濃く反映した半自伝的な作品として知られています。日本では劇場公開が見送られ、Netflixを通じて配信されています。

ストーリー

物語の舞台は、ニューヨーク州スタテンアイランド。主人公スコット・カーリンは、7歳の時に消防士だった父を職務中の事故で亡くして以来、どこか不安定で自堕落な日々を送っています。20代半ばになっても定職には就かず、クローン病や発達障害といった自身の抱える困難も相まって、親しい仲間と遊んだり、マリファナにふけったりするような生活から抜け出せずにいました。

一方で、妹のクレアは真面目に勉学に取り組み、やがて大学進学のため実家を離れることになります。そんな折、スコットは母のマギーが、偶然にも父と同じ職業である消防士のレイと交際を始めたことを知ります。父を早くに亡くした経験から、「なぜまた消防士を選ぶのか、同じように先立たれてしまうのではないか」と、母の選択に困惑し、時には反発するスコットでしたが、レイとの交流を通じて、自分自身の人生と向き合い、新たな一歩を踏み出すきっかけを見出していきます。

キャスト

本作を彩る主なキャストは以下の通りです（括弧内は日本語吹替キャスト）。

スコット・カーリン: ピート・デイヴィッドソン（関智一）
マギー・カーリン: マリサ・トメイ（安藤麻麻吹）
レイ・ビショップ: ビル・バー（岩崎ひろし）
ケルシー: ベル・パウリー
クレア・カーリン: モード・アパトー
パパ: スティーヴ・ブシェミ（多田野曜平）

その他、パメラ・アドロン、ジミー・タトロ、リッキー・ヴェレス、コルソン・ベイカー（マシン・ガン・ケリー）らが出演しています。

製作

本作の製作は、2019年1月29日にピート・デイヴィッドソンがジャド・アパトー監督の新作に出演するという報道から始まりました。同年4月には、ベル・パウリー、ビル・バー、マリサ・トメイの出演が決定。5月にはパメラ・アドロンとモード・アパトーが加わり、6月にはスティーヴ・ブシェミを含む主要キャスト陣が発表されました。音楽はマイケル・アンドリュースが担当し、2020年6月10日にはサウンドトラックが発売されています。

公開と評価

当初、『キング・オブ・スタテンアイランド』は2020年3月にサウス・バイ・サウスウエスト映画祭、続いて4月にはトライベッカ映画祭でのプレミア上映が予定されていました。しかし、新型コロナウイルスの世界的な流行拡大により、これらの映画祭は相次いで中止または延期となります。事態を重く見た配給元のユニバーサル・ピクチャーズは、同年6月19日に予定していた劇場公開を取りやめ、代わりに6月12日から主要なデジタルプラットフォームでの配信へと公開形態を変更しました。これに先立ち、5月8日にはオフィシャル・トレイラーが公開され、注目を集めました。

批評家からの評価は概ね好意的です。映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは、115件のレビューに基づき批評家支持率77%、平均点7.06/10を記録しています。サイトの批評家たちの総意としては、作品の雰囲気には多少のばらつきが見られ、上映時間の長さも指摘されていますが、ピート・デイヴィッドソンの真摯な演技が、物語全体をまとめ上げる力となっていると評価されています。また、Metacriticでは38件のレビューに基づく加重平均値が68/100となっており、こちらも一定の評価を得ています。

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