キンダ型巡洋艦

キンダ型巡洋艦

キンダ型巡洋艦（英: Kynda class cruiser）は、ソビエト連邦海軍およびその後のロシア海軍によって使用されたミサイル巡洋艦の艦級に付与されたNATOコードネームです。また、この艦級は58型ミサイル巡洋艦として知られ、ネームシップの「グロズヌイ」から「グロズヌイ級巡洋艦」とも称されています。

時代背景と来歴

1950年代、ソビエト連邦は冷戦の影響下で海軍の強化を図っていましたが、大型艦の必要性が疑問視される時期でもありました。1956年12月、海軍総司令官セルゲイ・ゴルシコフは対艦ミサイルを搭載した艦船の設計を進める指示を出しました。これに基づき、設計作業が開始され、正式な設計案が1958年に完成しました。当初、16隻の建造が計画されましたが、最高指導者ニキータ・フルシチョフの意向により、建造数はわずか4隻に制限されました。

このような背景から、キンダ型巡洋艦は実戦用というよりもソ連の艦造技術の象徴として位置づけられました。1960年代に入ると、「ジェット兵器搭載艦」という名称から「ミサイル巡洋艦」へと変更されました。

設計の特徴

キンダ型は、57bis型大型ミサイル艦を基に設計されており、重量や排水量に関する制限に対応するために、上部構造物には軽量なアルミニウム・マグネシウム合金が使用されていました。船体は高張力鋼製で、長船首楼型のデザインが採用されています。

進化した動力システムにより、ボイラー4缶と蒸気タービン2基からなる主機関が搭載され、出力は強化されました。特にKVN-95/64型ボイラーは高い蒸気圧と温度で運転され、燃料消費の効率も向上しています。

武装と戦術

キンダ型の主な武装は対艦ミサイルP-35（NATO名: SS-N-3B）で、最大射程は250km（後に350kmに延伸）に達します。4連装の発射機が艦の前後に配置されており、迅速な発射が可能です。核弾頭型ミサイルも標準装備されていたため、強力な攻撃能力を有していました。

防空能力も充実しており、M-1「ヴォルナ」防空ミサイルシステムとAK-726 60口径76mm連装高角砲を搭載することで、敵艦からの攻撃に対抗することができました。艦上のレーダーシステムも高度なもので、戦術的な情報を取得しながら戦闘に臨むことができました。

歴史と影響

1960年代から運用が開始され、地中海やインド洋、太平洋での艦砲外交に寄与し、多くの海上活動に参加しました。しかし、1990年代には旧式化が進み退役が相次ぎました。それでも、黒海艦隊の「アドミラル・ゴロフコ」は1995年に復帰し、1999年のユーゴスラビア空爆時にも活躍しました。

文化的影響

この艦級は、フィクションの中にも登場しており、特に『沈黙の艦隊』では他艦と共に重要な役割を果たしました。キンダ型巡洋艦は、ソ連海軍における技術的な先駆者となり、その後の艦船設計に影響を与えた存在であるといえるでしょう。

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