キンレンカ

キンレンカ（金蓮花）について

キンレンカ（学名: Tropaeolum）は、南米を起源とするノウゼンハレン科の一年草です。美しい花を観賞するために栽培されるほか、茎や葉、花はハーブとしても食用にされます。日本では、別名「ノウゼンハレン」とも呼ばれ、その名は黄色やオレンジ色の花がノウゼンカズラに似ており、また葉がハスに似ていることから付けられました。「ナスタチウム」という呼称も流通していますが、これは実際には異なる植物群（オランダガラシ属）に対して用いられる学名で、味の類似から転用されています。

特徴

キンレンカは、アンデス山脈などの熱帯高地に自生しており、暖かい気候が好きですが、25度を超える暑さには弱い特性があります。また、寒さにもあまり耐えられないため、育成には注意が必要です。葉は円形で、中心に葉柄があります。花は左右対称で、5枚の花弁を持ち、後方に細長い漏斗状の距があります。この部分には蜜が溜まり、昆虫を引き寄せる役割を果たします。花期は5月から11月と長く、花色はオレンジ、黄、赤、ピンクといった暖色系が中心です。果実は3個に分かれ、それぞれに種子を含んでいます。

また、キンレンカには独特の香りがあり、これがアブラムシを遠ざける効果があるため、コンパニオンプランツ（共生植物）としても利用されることがあります。観賞用だけでなく、食用の品種も存在し、花や若葉はサラダなどに彩りを加える食材として使われ、わずかにクレソンのような辛味が楽しめます。さらに、未熟な種子を塩漬けにしてケッパーの代わりに利用することもあります。

キンレンカ属には、南中米における約80種の草本があり、観賞用としてT. peregrinumやT. speciosumなどが栽培されています。また、T. tuberosumという種は、いもを食用とするために栽培され、アンデス地方では「Mashua」と呼ばれる重要な作物となっています。

辛味成分

キンレンカの辛味は、主にベンジルイソチオシアネートという化合物によってもたらされています。この成分は葉や種子に含まれるベンジル系グルコシノレートであるグルコトロペオリンから生成されます。組織が損傷した際に、酵素ミロシナーゼによって分解されると辛味が現れます。加熱調理を行うとミロシナーゼの活性が低下するため、辛味が減少する傾向があります。

栽培方法

キンレンカは水はけの良い日なたで育てますが、暑さを嫌うため真夏は明るい半日陰に移動させると良いでしょう。苗は春から秋に流通し、植え付けの最適な時期は3月下旬から5月下旬にかけてです。また、耐寒性が弱いため、秋に育てた苗は冬季には日当たりの良い室内に取り込むのが推奨されます。

害虫としてはハダニやハモグリバエ（エカキムシ）が見られることがあります。ハダニは葉の裏に付き、葉に白い斑点が現れ、ハモグリバエは卵を産みつけることで葉の内部を食害し、曲がりくねった白い線を形成します。増殖方法としては種蒔きとさし芽があり、種蒔きの適期は3月下旬から4月中旬です。硬い種子は、一晩水に浸した後、ポットに植え付けます。さし芽は6月頃に行い、茎を3節ほどの長さで切り、下葉を取り除いてから水はけの良い用土に植えます。日陰で管理すれば、約10日後に発根します。

以上のように、キンレンカはその美しさだけではなく、食用としての活用や栽培の楽しみも提供してくれる興味深い植物です。

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