キーロフ

キーロフ：歴史と文化が息づくロシアの都市

キーロフは、ロシア中西部に位置するキーロフ州の州都であり、ヨーロッパ・ロシアの北東部、ウラル山脈の西側に位置しています。ヴャトカ川の河畔に広がるこの都市は、河港を持ち、シベリア鉄道の主要駅であるキーロフ駅を有しています。モスクワからは東へ約900km、最寄りの都市キーロヴォ＝チェペツクからは西へ22kmの距離にあります。

歴史

キーロフの歴史は古く、12世紀末にはノヴゴロド共和国の商人によってフルイノフの砦が建設されました。1374年の文書には、町としてフルイノフという地名が初めて登場します。14世紀から15世紀にかけてはニジニ・ノヴゴロド公国に属し、大幅な自治を謳歌しました。1489年にはモスクワ大公国に併合され、辺境の防衛拠点となりましたが、カザン・ハン国に征服された時代もありました。

フルイノフは、古くから農産物の集散地として、また工芸品作りで栄えました。特に、近郊のディムコヴォ村で作られる土人形や笛などの玩具は有名で、現在でもディムコヴォ人形やヴャトカ人形として親しまれています。1689年には、街の最古の建築物である生神女就寝大聖堂が建てられました。

1781年には、フルイノフはヴャトカと改名されました。1796年にはヴャトカ県が新設され、ヴャトカはその県都となりました。しかし、18世紀から19世紀にかけては流刑地としても知られ、アレクサンドル・ゲルツェンやミハイル・サルトィコフ＝シチェドリンなどの反体制派が流刑に処されました。19世紀末にはシベリア鉄道が開通し、ヴャトカは工業都市として発展しました。

ロシア内戦では、ヴャトカは赤軍と白軍の戦場となり、大きな被害を受けました。1934年には、セルゲイ・キーロフの暗殺を記念して、キーロフと改名されました。ソビエト連邦の崩壊後、市名をヴャトカに戻す提案もありましたが、実現には至っていません。

経済と交通

キーロフは、シベリア鉄道とヴャトカ川の河港を有し、鉄道と水運の中心地として重要な役割を果たしています。市内にはトロリーバスが運行していますが、かつて運行していた路面電車は廃止されました。1990年代以降、道路事情や交通事情は改善の余地を残しています。キーロフ河川港は破産し、空港も閉鎖されるなど、経済的な困難も経験しましたが、近年ではモスクワ便が再開されるなど、復興の兆しが見えています。

工業は機械工業が中心で、自動車製造、電気工業、電子工業、金属工業、木材加工などが盛んです。16世紀以来の土人形作りも、キーロフの重要な産業の一つです。

文化と教育

キーロフには、美術館、博物館、劇場、大学など、多くの文化施設や教育機関があります。モスクワ法学アカデミーの分校や、キーロフ医科大学、キーロフ農業アカデミーなど、多様な分野の教育が行われています。

その他

プラウダ紙の記事によれば、キーロフでは双子の出生率が特に高いことが知られています。

姉妹都市

キーロフは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

シェドルツェ（ポーランド）
ヌヴェール（フランス）
ダージング（ドイツ）
ペスカンティーナ（イタリア）

キーロフは、その豊かな歴史と文化、そして交通の要衝としての役割を通じて、ロシアの発展に貢献し続けています。

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