キーロフ (警備艦)

キーロフ (Ки́ров)

キーロフはソビエト連邦のキーロフ級警備艦の中でも象徴的な存在で、特に国境警備隊に属していた点が特徴的です。この艦は1920年代から続く、日本やアメリカの密漁船によるソビエトの領海への侵入に対抗するために設計されました。海上国境が長大であり、高速の国境監視船が不足する中、とりわけ重要な役割を果たしていました。

背景と建造

1920年代末、ソビエトは極東地域における海洋国境の防衛を強化する必要性を強く認識しました。これは、頻繁に発生する密猟によって数百万ドルに及ぶ損失を被る状況に起因しています。そのため、1929年に共産党政治局は24隻の新しい艦船の建造を決定しました。イタリアのジェノヴァにあるアンサルド社に対し、キーロフとジェルジンスキーの2隻が発注されました。

キーロフは1934年8月19日に進水し、同年11月には小火器で武装したイタリア人乗組員とともに極東へ向けて航海しました。ソビエトに到着後、正式な武器が装備され、NKVDの海軍国境警備隊に編入されました。名付けられたのは1935年3月のことです。

任務と功績

キーロフは、主に日本の密漁船の取り締まりに従事し、国外の漁船との接触を持ちました。これには日本の軍艦と対峙することや、時には銃撃戦に発展することもありました。1938年には宗谷海峡で遭難した蒸気船「トルクメン」の乗員を救助したことでも知られています。

1945年には、太平洋戦争の一環として占守島の戦いに参加。ペトロパブロフスク海軍基地の指揮下で護衛と砲撃支援を行い、特に上陸作戦中の日本の航空機との交戦が記録されています。この際、キーロフは軽微な損傷を受けながらも日本軍の砲台を制圧しました。

戦争の功績として1945年9月14日に赤旗勲章を授与され、1959年にはKGB海洋国境部隊から除籍されました。その後、1960年には水上兵舎として再編成されました。

まとめ

キーロフは、単なる警備艦ではなく、極東において国境を守るために重要な役割を果たした艦艇でした。その歴史と任務は、当時の国際情勢とソビエト連邦の国防戦略に深く根ざしています。今でもその存在は海上国境警備の重要性を示唆するものとして記憶されています。

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