宗谷海峡

宗谷海峡の概要

宗谷海峡（そうやかいきょう）は、北海道の最北部にある宗谷岬と、未帰属の樺太の西能登呂岬との間に広がっています。この海峡は、東西方向に走り、日本海とオホーツク海を結ぶ重要な水路となっています。最狭部の幅は約42キロメートルで、深さは最深部でおよそ60メートルと比較的浅い特徴があります。

海峡の歴史と名称

宗谷海峡という名称は、日本で使用されている名前ですが、国際水路機関では「ラ・ペルーズ海峡」という名称が用いられています。この名称は、1787年に当海峡を最初に通過したフランスの探検家ラ・ペルーズに由来します。海峡の上にある宗谷岬の丘には、彼を顕彰する記念碑が存在しています。歴史的には、最終氷期にはこの海峡が陸橋となり、樺太と北海道がユーラシア大陸とつながっていたことが示唆されています。このような地形上の特性から、動物の生息分布の境界線の一つである「八田線」が通るとされており、生態系にとっても重要な地点となっています。

海流と海象

宗谷海峡を流れる暖流は、日本海を北上する対馬海流の一部であり、オホーツク海側の宗谷暖流として流れています。このため、暖流の影響を受けて、沿岸における定着氷や流氷はあまり見られませんが、稚内港方面には年に数日程度、流氷が押し寄せることがあります。これにより、船舶の航行に支障が出る場合もあります。また、海峡内では夏でも冷涼な風が吹く日には海霧がたちやすく、特に過去にはレーダー装備が普及していなかったため、海難事故が起こりやすい時期もありました。

交通と構想

過去、南樺太が日本の領土であった時代、稚内から大泊（現在のコルサコフ）にかけて稚泊連絡船が運航されていました。現在も、北海道サハリン航路による国際航路が運営されています。戦前から、宗谷海峡下に鉄道トンネルやガスパイプラインを通す構想がありましたが、国際情勢の変化によってまだ具体化していません。

軍事的重要性

宗谷海峡は軍事上の重要な地点としても知られています。1902年にロシアとの関係が悪化すると、宗谷岬には望楼が設置され、日露戦争中はロシアバルチック艦隊の航行監視の中心的な役割を果たしました。また、第二次世界大戦中には、アメリカ海軍が宗谷海峡からの潜水艦の侵入を試み、通商破壊戦を展開しました。1943年には、その際に発生した海戦で潜水艦が撃沈される事態が起こり、結果としてアメリカ海軍の日本海侵入作戦は1945年まで中止されました。

現在の状況

現在、1982年に制定された領海法に基づき、宗谷海峡は他の海域に比べてユニークな位置付けをされています。沿岸には自衛隊の基地が設置されており、隣接する樺太にはロシア軍のレーダーサイトが配置されています。これにより、宗谷海峡は単なる輸送路以上の重要性を持つ地点となっています。

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