キー・ラーゴ (映画)

キー・ラーゴ：ハリケーンと銃声が渦巻くフロリダ・キーズ

1948年、ジョン・ヒューストン監督が贈るフィルム・ノワール『キー・ラーゴ』は、マクスウェル・アンダーソンの同名戯曲を原作とする傑作サスペンス映画です。ハンフリー・ボガートとエドワード・G・ロビンソンという名優の共演、そしてクレア・トレヴァーのアカデミー助演女優賞受賞も話題を呼びました。

舞台は、フロリダ州の美しい珊瑚礁列島フロリダキーズのキーラーゴ島。戦後、元少佐フランク・マクラウドは、戦死した部下の遺族を訪ねるため、この島を訪れます。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、想像をはるかに超える危険な状況でした。

フランクが訪れたのは、戦死した部下ジョージ・テンプルの未亡人ノーラと、老父ジェームズが経営する小さなホテル。一見すると静かで平和なホテルですが、実はロッコをボスとするギャングの一味が潜伏する隠れ家となっていたのです。

ロッコ一味は、釣り客を装ってホテルに居座り、不穏な空気を漂わせていました。そこに、先住民の脱獄囚を追って偶然ホテルを訪れたソーヤー副保安官が現れ、一味の正体が露呈。ソーヤー副保安官は容赦なく射殺され、ギャングたちの凶暴な本性があらわになります。

ロッコたちは、その夜に偽札をギャング仲間のジギーに渡し、逃亡する計画を立てていました。しかし、運命の悪戯か、逃亡を阻むかのように、猛烈なハリケーンが島を襲います。逃亡用の船を失ったロッコは、元軍人であるフランクに目をつけ、ホテルの船を操縦してキューバまで逃げるよう強要します。

危険を避けたいと考える一方で、抑えきれない戦意も抱えるフランク。葛藤しながらも、ロッコの命令に従うことを決意します。一方、ロッコの情婦ゲイは、フランクの身を案じ、巧みな計略でロッコから拳銃を奪い、フランクに渡します。

船上では、緊迫した攻防が繰り広げられます。フランクは、ロッコの部下たちを次々と倒していきます。甲板では巧みな策略で敵を海に落とし、船室では銃撃戦を繰り広げ、一人また一人と敵を葬り去ります。激しい銃撃戦の中、フランク自身も負傷しますが、それでもなお戦い続け、ついにロッコを射殺します。

ギャングたちをすべて倒したフランクは、船を島に戻し、無線で救助を要請します。そして、ホテルで待つノーラに無事であることを伝え、静かに幕を閉じます。

『キー・ラーゴ』は、ハリケーンという自然の脅威と、人間の業が複雑に絡み合った、息詰まるサスペンスです。ハンフリー・ボガートの渋い演技、そして絶望と希望が入り混じる物語は、観る者を最後まで魅了し続けるでしょう。美しいフロリダ・キーズの風景と、激しい銃声、そして吹き荒れるハリケーンが織りなす、忘れがたい名作です。

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