キ19 (航空機)

キ19重爆撃機

キ19は、日本陸軍によって太平洋戦争前に試作された爆撃機です。この機体は中島飛行機によって設計・製造されました。1935年、九三式重爆撃機の後継機を求められた中島は、1937年3月に試作機を完成させました。

概要

キ19は流線型の胴体を持ち、中翼の双発単葉機として設計されています。主脚は完全に引き込まれ、胴体内に爆弾倉を装備するなど、空力学に基づいた洗練された構造が評価されました。機体の設計は、同時期に中島がライセンス生産していたダグラス DC-2輸送機を参考にしており、その影響が見られます。

この飛行機には、自社開発のハ5空冷式エンジンが搭載されており、爆弾の搭載量は750kgでしたが、これは九三式重爆撃機と比較して若干少ないものでした。

飛行性能と試験

1937年3月から、キ19は三菱のキ21試作機と比較しながら飛行審査が行われました。どちらの機体も優れた飛行性能を示しましたが、実用試験の結果、機体の性能は三菱製が優位であるとの評価が下されました。一方、エンジンの性能については中島製のものが高く評価されました。

陸軍は、さらなる試作を求め、三菱には中島のハ5エンジンを搭載した試作機を、中島には三菱製のハ6エンジンを搭載した試作機の製作を指示しました。しかし、最終的には三菱製の増加試作機が優れた成績を収めたことから、九七式重爆撃機として制式採用される運命を辿りました。その結果、キ19は不採用となってしまいました。

運用と後の利用

不採用となった後、試作機の一部は武装を撤去され、長距離通信機N-19として同盟通信社（J-BACN）に譲渡されました。

スペック

以下はキ19の主なスペックです：

• - 全長：15.00m
• - 全幅：22.00m
• - 全高：3.65m
• - 自重：4,750kg
• - 全備重量：7,150kg
• - 発動機：ハ5甲（中島九七式）空冷複列星型14気筒 ×2
• - 出力：890~950hp
• - 最大時速：350km/h
• - 巡航時速：300km/h
• - 航続力：4,000km
• - 実用上昇限度：8,600m

武装

• - 7.7mm機関銃 ×3
• - 爆弾 750kg
• - 乗員：5名

参考文献

• - 小川利彦『日本航空機大図鑑（1910年-1945年）中巻』国書刊行会 1993年 ISBN 4-336-03346-3

このようにキ19は日本の航空機開発において重要な存在でしたが、最終的には軍の要件を満たさず、不採用となった機体です。しかし、その開発過程は日本の航空技術の進歩に寄与するものであり、後の航空機設計にも影響を与えました。

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