九三式重爆撃機

九三式重爆撃機

九三式重爆撃機（きゅうさんしきじゅうばくげきき）は、1930年代の大日本帝国陸軍によって開発された爆撃機です。この機体は、試作名キ1で、一般には九三重爆と略称され、三菱重工業によって製造されました。

開発経緯

陸軍は1932年4月、旧式化が進んでいた八七式重爆撃機に代わる新型の重爆撃機を求め、三菱に開発を指示しました。三菱はドイツから導入したユンカースK37を基に、大型化して試作機を製作し、1933年3月に第1号機を完成させました。

設計特性

九三式は全金属製の低翼単葉双発機で、ユンカース特有の波板外板デザインが特徴でした。主脚は固定式でしたが、エンジンについては700馬力の三菱B-1を予定していたものの、間に合わずイギリス製のロールス・ロイスバザードエンジンが搭載されました。試作機は飛行審査後にいくつかの問題が見つかりつつも、陸軍の急務により1933年11月に制式採用されることになりました。

問題と改修

部隊に配備された後、エンジンの故障や冷却水、油漏れ、ブレーキ不良が多発し、また、出力不足から片舷飛行ができないケースもありました。さらに低速で鈍重なため、現場での評判は悪化しました。このような事情を受けて、大規模な改修が実施され、エンジンの改良型への換装や操縦席周りの風防形状の変更、降着装置の整形などが行われました。これにより1935年に九三式重爆撃機二型（キ1-II）が制式採用されることとなり、以前のタイプは一型（キ1-I）と呼称されるようになりました。しかし、二型でも基本的な欠陥は改善されず、運用部隊からの評価は依然として低いものでした。

運用実績

九三式の部隊配備は1934年春から始まりましたが、初の実戦は1937年7月に発生した支那事変で行われ、6機が出動して爆撃任務を遂行しました。この機体は陸軍機として初めて500kgの爆弾を運用することでも知られています。それでも、エンジントラブルや旧式化の影響が顕著となり、より高性能な新型機への要望が高まっていきました。

1936年には九七式重[[爆撃機]]（キ21）的な新機体の試作が始まると、九三式の製造は終了しました。総生産数は118機に及びましたが、新型機が充分に配備されるまで、九三式は航空学校で練習爆撃機として使用され続けました。

諸元

• - 一型（キ1-I）

- 全長：14.80m
- 全幅：26.50 m
- 全高：4.92 m
- 主翼面積：90.74 m²
- 自重：4,880 kg
- 全備重量：8,100 kg
- エンジン：三菱ハ2-II 水冷12気筒エンジン700HP×2
- 最大速度：220 km/h
- 航続距離：1,250 km
- 実用上昇限度：5,000 m
- 乗員：4名
- 武装：7.7mm旋回機関銃（八九式旋回機関銃）×4、最大爆弾搭載量1,500 kg。

登場作品

映画『燃ゆる大空』では、練習機として使用された九三式重爆撃機が撮影に用いられています。

関連項目

• - 九三式双軽爆撃機
• - 九二式重爆撃機
• - 爆撃機一覧

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