キ93 (航空機)

キ93 地上攻撃機の概要

キ93は、日本陸軍によって開発された地上攻撃機で、旧式となりつつあった九九式襲撃機の後継機として位置づけられています。設計は1943年に日本陸軍航空技術研究所で始まり、初期のプロトタイプが1945年3月に完成しました。その後、1945年4月に初飛行を行いましたが、終戦を迎えるまでに満足なテストを行うことができずに終わってしまった機体です。

開発の背景

1943年、陸軍は九九式襲撃機の性能向上を目指すため、キ102乙の開発を川崎航空機に指示しました。しかし、同時に第一陸軍航空技術研究所では、キ93の開発が進められました。陸軍からは、重火器を搭載する「研究機」という位置づけでしたが、実用機として完成させることも期待されていました。設計は進み、試作1号機が陸軍航空工廠にて完成しました。

設計と技術

キ93のデザインは、当時の航空機には見られない新しい要素が数多く取り入れられています。特に注目すべきは、戦車に対抗するために装備された大口径の機関砲です。それを支持するために、三菱製のハ214双発エンジンと6翅プロペラを採用しました。このプロペラはドイツのVDM社製であり、日本では初めての試みでしたが、電気式のピッチ可変機構は技術的問題により不安定でした。

主翼は2段テーパーの層流翼で、操縦席は機体前部に配置されています。これにより視界が改善され、操縦のしやすさが向上しました。ただし、6翅プロペラにより前方視界が悪いことが指摘されています。また、機体サイズは海軍の銀河とほぼ同等で、安定した飛行性能を期待されていました。

初飛行と試作機状況

1945年4月8日に立川飛行場で初飛行を行いましたが、帰着時に事故が発生し左主脚とプロペラを損傷してしまいました。その後、修理作業中に空襲に遭い、機体は焼失してしまいました。終戦時には試作2号機が武装中で、3号機は組み立ての途中でした。この試作2号機は、戦後にアメリカへ輸送され、USAAF FE-152という番号が付与されたと言われています。

武装と性能

キ93は、強力な火力を誇ります。胴体中央には57mmのホ402機関砲、翼内には20mmのホ5機関砲が2門装備されています。また、自衛のために後部席には12.7mmのホ103機関銃も搭載され、確保された弾薬は57mm砲弾が20発、20mm砲弾がそれぞれ300発、さらには12.7mm銃弾が400発となっています。

主要スペック

• - 全長：14.22m
• - 全幅：19.00m
• - 全高：4.85m
• - 重量：7,686kg
• - 全備重量：10,666kg
• - 発動機：ハ-214×2
• - 出力：1,970hp
• - 最大時速：624km/h
• - 航続力：3,000km
• - 実用上昇限度：12,050m

キ93は、戦局が厳しくなる中で誕生した機体で、若干の特徴と技術を持ちながらも、結局実戦には投入されることなくその歴史を閉じました。

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