ギャリック・オールソン

ギャリック・オールソン：類まれな技巧と繊細さを併せ持つピアニスト

ギャリック・オールソン (1948年生まれ) は、アメリカ合衆国ニューヨーク州出身の世界的ピアニストです。類まれな演奏技術と音楽性で知られ、幅広いレパートリーと深い音楽解釈で高い評価を得ています。

華々しいキャリアの始まり

8歳からピアノを始め、ウエストチェスター音楽院で研鑽を積んだオールソンは、13歳で名門ジュリアード音楽院に入学。サーシャ・ゴロドニツキ、ロジーナ・レヴィーンといった巨匠に師事する一方、クラウディオ・アラウやオルガ・バラビニといった著名なピアニストからも薫陶を受けました。

若くして頭角を現し、18歳でブゾーニ国際ピアノコンクール優勝という快挙を成し遂げます。その後も輝かしい受賞歴を重ね、1970年には第8回ショパン国際ピアノコンクールで優勝、さらにマズルカ賞も受賞しました。これらの受賞は、オールソンの卓越した才能を世界に知らしめることとなりました。

世界を舞台に活躍

数々のコンクールでの優勝を機に、オールソンは国際的な演奏活動を開始。欧米では絶大な人気を誇り、世界各地で熱狂的な支持を集めています。一方日本では、アメリカ人ピアニストであることや、録音契約がマイナーレーベルだったことなどから、その知名度は欧米ほど高くありませんでしたが、それでも日本でも何度か公演を行い、高い評価を受けています。近年では、かつて自身が出場し優勝したブゾーニ国際ピアノコンクールやショパン国際ピアノコンクールで審査員を務めるなど、音楽界に多大な貢献をしています。

日本公演とNHK交響楽団との共演

日本においては、1972年から2016年にかけて計6回にわたる公演を実施。2012年の来日公演では、NHK交響楽団との共演を果たし、その実力と人気を改めて証明しました。2016年の公演でも、全国各地で数々の素晴らしい演奏を披露し、高い評価を得ています。

演奏スタイルとレパートリー

オールソンの演奏は、バッハから後期ロマン派までの正統的なレパートリーに加え、リスト、ラフマニノフ、スクリャービン、ブゾーニといった超絶技巧を要する作品、そしてショスタコーヴィチやヴェーベルンといった20世紀の作品まで、幅広い範囲に及びます。その演奏は、195cmという長身から生まれる力強いフォルティッシモと、繊細で軽やかな弱音の両極を巧みに操り、独特の柔らかさと温かみのある音色で聴衆を魅了します。現代音楽にも造詣が深く、現代作曲家ジャスティン・デロ・ジョイオはオールソンに作品を献呈しています。

豊富な録音作品

ショパン国際ピアノコンクール優勝後、EMIと契約し、ショパンの作品を数多く録音したオールソンは、その後もアラベスク、テラーク、ハイペリオンといったレーベルと契約し、独奏曲から協奏曲、室内楽、歌曲まで、幅広いレパートリーの作品を録音してきました。中でも注目すべきは、網羅的なショパン全集とベートーヴェンのソナタ全集です。ショパン全集では、一般的にショパン作品には不向きとされるベーゼンドルファー社のピアノを使用し、重厚な鍵盤アクションを生かした奥行きのある表現で知られています。現在、アラベスクレーベルのCDは日本では入手困難ですが、ハイペリオンレーベルから再発売されたショパン録音は比較的容易に入手できます。

受賞歴

オールソンの輝かしいキャリアは、数々の受賞によって裏付けられています。1994年にはエーブリー・フィッシャー賞を受賞し、2008年にはベートーヴェンのソナタ集の録音でグラミー賞を受賞しました。

まとめ

ギャリック・オールソンは、類まれな技巧と深い音楽性を兼ね備えた、現代を代表するピアニストの一人です。彼の演奏は、単なる技巧の粋を超え、聴く者の心に深く響く感動を与えてくれます。これからも、彼の音楽活動から目が離せません。

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