ギャレット・ゴメス

ギャレット・キース・ゴメス：伝説の騎手の栄光と苦悩

ギャレット・キース・ゴメス（1972年1月1日-2016年12月14日）は、アメリカ合衆国アリゾナ州出身の元騎手である。類まれな才能と幾多の困難を乗り越えた波乱万丈の人生は、多くの競馬ファンに深い感銘を与え続けている。

アリゾナ州ツーソンで生まれたゴメスは、1988年、高校を中退して騎手の道を歩み始める。同年9月、ニューメキシコ州サンタフェダウンズ競馬場でデビュー。2年目にはネブラスカ州を拠点に活躍し、見習い騎手として全米で2位という好成績を収める。

その後、中部地区で頭角を現し、1994年と1995年にはアーカンソーダービー（G2）を連覇。1995年には通算1000勝を達成するなど、順調にキャリアを重ねていった。

1997年は、彼のキャリアにとって大きな転換期となった。オナーグライドに騎乗し、アメリカンダービー（G2）、アーリントンクラシック（G2）、そしてセクレタリアトステークス（G1）という中部地区三冠を制覇。同時にG1競走初勝利も飾る快挙を成し遂げた。同年には、ハリウッドパーク秋季開催のリーディングジョッキーにも輝いた。

1998年、西海岸のカリフォルニア州を拠点に転身。翌年から3年間でG1競走7勝という驚異的な成績を残し、トップジョッキーの仲間入りを果たす。しかし、2002年末頃から体重管理に苦しみ始め、一時騎乗を停止。さらに2003年7月には薬物使用が明るみに出ると、21ヶ月間の騎乗停止処分とリハビリ施設への入所を命じられ、競馬界から遠ざかることとなる。

困難を乗り越えたゴメスは、2004年末に薬物依存を克服し、見事騎手として復帰。2005年秋には、スティーヴィーワンダーボーイでブリーダーズカップ・ジュヴェナイル、アーティーシラーでブリーダーズカップ・マイルを制覇。ブリーダーズカップ初制覇という偉業を達成した。

2006年には、落馬負傷したジョン・ヴェラスケスに代わりトッド・プレッチャー厩舎の主戦騎手を務め、G1競走を5勝。賞金総額2010万ドルを獲得し、全米最多獲得賞金騎手に輝く。翌2007年も、ミッドナイトルートでブリーダーズカップ・スプリント、インディアンブレッシングでブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズを制覇。前年を上回る2280万ドルの賞金を獲得し、2年連続の最多獲得賞金騎手となった。さらに、前年逃したエクリプス賞最優秀騎手賞も初受賞した。

2008年には9月28日に通算3000勝を達成。同年ブリーダーズカップでは新設競走を含む4競走を制し、翌1月には2年連続のエクリプス賞を受賞。日本でも初騎乗を果たすなど、世界的な活躍を見せた。2009年には、阪神競馬場の第4レースで中央競馬初勝利を挙げている。

2015年に騎手を引退したゴメスは、2016年12月14日、アリゾナ州トゥーソン近郊のカジノホテルで、薬物の過剰摂取により44歳という若さでこの世を去った。

ゴメスの騎乗馬には、オナーグライド、ラヴザットレッド、スキミング、スティーヴィーワンダーボーイ、アーティーシラー、ミッドナイトルート、インディアンブレッシングなど、数々のG1競走優勝馬が含まれる。彼が残した功績は、競馬史に永遠に刻まれるだろう。彼の華麗な騎乗と、薬物依存からの壮絶な復帰劇は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けている。彼の名前は、常に競馬界の伝説として語り継がれることだろう。

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