クアウテモック・モクテスマ醸造会社

メキシコビールの雄 クアウテモック・モクテスマ醸造会社

メキシコを代表するビール醸造会社、クアウテモック・モクテスマ社は、1890年、4人の実業家によってヌエボ・レオン州モンテレイに設立されました。当初はカルタブランカという銘柄を製造し、シカゴ万国博覧会やパリ万国博覧会で金メダルを受賞するなど、早くから高い評価を獲得しました。

一方、1894年にはドイツ系移民であるギジェルモ・ハッセがベラクルス州オリサバでモクテスマ社を創業。同社はドスエキスなどの人気ビールを生み出しました。両社は1936年、バロレス・インドゥストリアレスという持株会社傘下となり、その後も積極的に他社を買収、成長を続けました。20世紀のメキシコビール業界は、モデロ社（コロナビール）、クアウテモック社、モクテスマ社の3社による寡占状態が長く続きました。

クアウテモック社とモクテスマ社は1985年に合併、クアウテモック・モクテスマ醸造会社として再出発。その後、FEMSA傘下となりましたが、2010年にはハイネケングループに買収され、現在はハイネケンメキシコとして世界市場で活躍しています。

世界に名を馳せる人気銘柄

クアウテモック・モクテスマ社は、テカテ、ドスエキス、ソルなど、国際的に高い知名度を誇るビール銘柄を多数保有しています。

テカテ

1943年、バハ・カリフォルニア州テカテで誕生したテカテは、その地名に由来するラガービールです。1955年にクアウテモック社に買収され、ブランドは「T」のロゴと黒い鷲のマークで知られています。2021年には、ブランド評価会社Brand Finance社のランキングで世界20位にランクインするなど、その高いブランド力を示しています。また、サッカー、野球、ボクシングなど、様々なスポーツイベントのスポンサーを務め、メキシコ国内外で高い認知度を誇ります。

ドスエキス

1897年、モクテスマ社によって「Siglo XX」（20世紀）という名前で発売されたドスエキスは、20世紀を祝して誕生したビールです。現在の名前はスペイン語で「2つのX」を意味し、ラベルに赤く描かれた2つのXが目印となっています。当初はアンバービールのみでしたが、1984年にはアメリカ合衆国でラガーが作られるようになり、その後メキシコ国内でもラガーが人気を博すようになりました。アメリカ合衆国では、ジョナサン・ゴールドスミスを起用した「The Most Interesting Man in the World」というテレビコマーシャルが大きな成功を収め、知名度を飛躍的に向上させました。2019年には、アメリカ合衆国での販売量ランキングで20位にランクインするなど、高い人気を誇っています。

ソル

1899年にメキシコシティで誕生したソルは、スペイン語で「太陽」を意味するラガービールです。1900年代初頭にモクテスマ社に買収され、オリサバで製造されるようになりました。メキシコでは、セクシーな女性を起用したコマーシャルで知られています。

その他の銘柄と展望

クアウテモック・モクテスマ社は、テカテ、ドスエキス、ソル以外にも、カルタブランカ、クロステル、インディオ、スペリオル、ボエミアなど、数多くのビール銘柄を製造しています。これらの銘柄は、それぞれの個性的な味わいと歴史を持ち、メキシコビール文化の豊かな多様性を象徴しています。また、シードルや炭酸入りアルコール飲料など、ビール以外の製品も展開しています。

ハイネケン傘下となったクアウテモック・モクテスマ社は、グローバルなネットワークと技術力を活かし、今後もメキシコビールの伝統を守りながら、世界市場への更なる進出を目指していくことでしょう。メキシコを代表するビールブランドとして、その未来にますます注目が集まります。

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