クアラルンプール＝シンガポール高速鉄道計画

クアラルンプール＝シンガポール高速鉄道計画の概要

クアラルンプール＝シンガポール高速鉄道計画は、マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設計画でした。この計画は、両都市間の移動時間を大幅に短縮し、経済的な連携を強化することを目的としていました。

計画の発表と進展

この計画は、2010年9月にマレーシアのナジブ・ラザク首相によって初めて発表されました。2013年2月には、ナジブ首相とシンガポールのリー・シェンロン首相が会談し、2020年までに高速鉄道を建設することで合意しました。当初は2015年の着工が予定されていましたが、その後、2017年に着工し、2026年に開業する予定に変更されました。しかし、2021年1月1日、シンガポール側が計画の中止を発表し、このプロジェクトは実現には至りませんでした。

計画の歴史

高速鉄道の構想は1990年代に遡ります。建設費の高さから一旦は棚上げされましたが、2006年にKLIAエクスプレスの運営者であるYTLコーポレーションが計画の復活を提案しました。当時の試算では、時速250キロメートルで走行する高速鉄道を利用した場合、両都市間の所要時間は99分とされ、道路での4～5時間、在来鉄道での7時間、空路での3時間（空港までの移動時間や待ち時間を含む）と比較して大幅な時間短縮が見込まれました。しかし、2008年にはマレーシア政府が建設費が80億リンギットに上ることを理由に計画を凍結しました。

2010年、経済変革プログラムの一環として、高速鉄道計画は経済活動の拡大に大きな影響を与えるプロジェクトとして再評価されました。2011年6月には、中国の胡錦濤国家主席のマレーシア訪問を機に、中国式の高速鉄道技術が導入される可能性も示唆されました。2013年2月には両国首相が会談し、計画の実行で合意、2014年末までに最終決定を行い、2020年の開業を目指すと発表しました。シンガポール側の建設については、陸上交通庁の2014年度予算で承認が必要となり、建設予定地としてはトゥアス工業団地、ジュロン・イースト、ダウンタウン・コアが候補に挙がりました。

2015年2月、シンガポール側の終点駅がジュロン・イーストに決定しましたが、既存のMRTジュロン・イースト駅には接続されないことが発表されました。日本や韓国、フランスなど複数の国がこの計画への参画に関心を示しました。2016年7月には、マレーシアとシンガポールが覚書に調印しましたが、2018年6月にはマハティール首相（当時）が高コストを理由にプロジェクトの延期を表明し、2021年1月1日にはシンガポールが計画の中止を発表しました。

計画の詳細

計画では、全長375キロメートルの路線を約90分で結ぶ予定でした。建設費は430億リンギットと見積もられ、少なくとも時速270キロメートルでの走行を実現するために、専用の線路が新たに建設される計画でした。マレーシア側の建設はMyHSR Corpが、シンガポール側の建設は陸上交通庁がそれぞれ担当することになっていました。

計画の日程

計画の進捗としては、2016年7月に覚書が調印され、同年8月に工学調査の入札が実施されました。2016年末には二国間協定が締結され、2017年後半には土木工事の入札が開始される予定でした。建設期間は2018年から2025年までとされ、2023年後半には国際および国内事業者への入札が開始され、2024年から2026年にかけて試験および試運転が行われ、2026年に開業する予定でした。

駅

2014年10月にはマレーシア国内の駅が発表され、2015年5月にはシンガポール側の終点駅がジュロン・イーストに決定しました。建設予定地の一部であったジュロン・カントリークラブは、2016年11月までに土地を引き渡す予定でした。

この高速鉄道計画は、両国間の経済発展に大きく貢献するはずでしたが、最終的には実現に至りませんでした。

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