リンギット

マレーシアの通貨：リンギット（Ringgit）

マレーシアの通貨単位であるリンギット（Ringgit）は、MYRまたはRMと表記されます。しばしばマレーシア・ドルとも呼ばれますが、正式名称はリンギットです。補助単位としてセン（sen）があり、1リンギットは100センに相当します。リンギットの日本語表記には「リンギット」と「リンギ」の揺れが見られますが、マレー語の発音は「リンギッ」に近いとされています。

語源

リンギットの語源は、マレー語で「ギザギザな」を意味する形容詞に由来します。これは16～17世紀にポルトガル植民地で広く流通していたスペイン・ドル銀貨の縁の形状にちなんだものです。また、マレー語ではシンガポール・ドルやブルネイ・ドルもリンギットと呼ばれるため、マレーシアの通貨を区別するために「Ringgit Malaysia（公式略称RM）」という正式名称が使われます。マレーシア・ドルは、この公式名称の英訳に相当します。

歴史

1975年8月までは、リンギットとセンはそれぞれ英語のドル（dollar）とセント（cent）と呼ばれていました。現在でも一部地域ではこの名称が使用され、例えば英語話者は1リンギットを1ドルと呼ぶことがあります。また、福建語では1リンギットを「蜀箍銀（tsit8-kho·1-gin5）」と呼び、マレー半島北部では10センをクパン（kupang）と呼ぶ習慣があります。

為替相場制度の変遷

1997年のアジア通貨危機を受け、1998年9月2日に固定相場制に移行し、1USD＝3.80RMのレートが設定されました。その後、2005年7月21日に中国の人民元改革に追随する形で、通貨バスケット制による管理変動相場制に移行しました。この変更は、ドル安傾向によるリンギットの過度な下落を防ぎ、人民元切り上げと同時に輸出競争力を維持することが目的でした。

変動相場制への移行とその影響

制度変更当初は1USD＝3.77～3.78RMで推移しましたが、2006年1月には投資資金の流入により一時的に3.73RMまでリンギット高が進みました。その後、1USD＝3.60RMを割る水準まで上昇しましたが、年末には3.65～3.70RMのレンジに戻りました。2006年末には、株式投資や企業買収のための海外資金流入により、1USD＝3.53RMまで急進しました。しかし、変動幅は通貨バスケット制の範囲内でした。

紙幣

現在流通している紙幣は、100、50、20、10、5、2、1リンギットの7種類です。過去に発行されていた500、1000リンギット紙幣は法的価値を失っています。全ての紙幣には、初代国王アブゥドル・ラーマンの肖像が印刷されています。新1リンギット紙幣と新5リンギット紙幣はポリマー紙幣です。100リンギット紙幣は流通量が少ないため、日常的には50リンギット札が高額紙幣とみなされています。

第3世代紙幣の図柄:

1リンギット（青）：キナバル山とワウブラン（三日月型の凧）
2リンギット（ライラック色）：クアラルンプールタワーと人工衛星MEASAT
5リンギット（緑）：クアラルンプール国際空港とペトロナスツインタワー
10リンギット（赤）：クアラルンプールのプトラLRT、マレーシア航空機、マレーシア国際海運の貨物船
50リンギット（青・グレー）：ペトロナス社の海上石油掘削基地
100リンギット（紫）：プロトン自動車の生産ラインとエンジン

2012年からは第4世代の新紙幣が流通しており、2リンギット紙幣は廃止されました。

硬貨

硬貨は50、20、10、5、1センの5種類が流通しています。ただし、1セン硬貨はほとんど流通しておらず、端数は5セン単位で切り上げまたは切り捨てられます。2005年12月6日をもって、偽造が多かった1リンギット硬貨は廃貨となりました。2012年からは第3世代の新硬貨が流通しており、1セン硬貨は製造されなくなりました。現在でも、1リンギット以外の旧硬貨は法的に有効です。

歴代硬貨の材質

（表形式で材質を記載するスペースですが、提供された情報には具体的な材質の表がないため、省略します。）

為替レート

リンギットの為替レートは変動しており、対ドルレートは常に変動しています。

まとめ

マレーシアの通貨リンギットは、その歴史的な背景や制度変遷を経て、現在の形に至っています。紙幣や硬貨のデザインには、マレーシアの象徴的な要素が反映されており、経済だけでなく文化にも触れることができる興味深い通貨と言えるでしょう。

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