クイズクロス5

クイズクロス5：中国地方を舞台にした家族参加型クイズ番組

1983年4月から1988年3月まで、中国地方（広島県、岡山県、山口県、鳥取県、島根県）のフジテレビ系列局で放送されたローカルクイズ番組『クイズクロス5』。中国電力の一社提供で、テレビ新広島（TSS）が制作の中心となり、中国地方の系列局が共同制作に参加していました。番組名の通り、中国地方5県にまつわるクイズが出題され、各系列局が募集した親子1組ずつが解答者として出演する、家族参加型の番組でした。

変化に富んだ司会者陣

番組開始当初から1985年8月まで司会を務めていたのは、国民的歌手として知られた坂本九さんでした。しかし、1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故により急逝。その後は、TSSアナウンサーの神田康秋さんが暫定的に司会を引き継ぎ、1986年1月まで務めました。同時期には河内理恵さんも司会として出演していました。そして、1986年1月からは柏木由紀子さんと西田篤史さんが新たな司会者として番組を盛り上げました。司会者の交代劇は、番組の歴史において大きな転換点となりました。

広島カープ中継との兼ね合いと独自の放送形態

番組の放送時間については、系列局によって多少のずれがありました。特に、テレビ山口は1987年9月まではTBS系列とのクロスネット局であったため、番組放送への影響も考慮しなければなりませんでした。1987年10月にTBS系列一本化後も、フジテレビ系列との良好な関係を維持し、番組制作と解答者募集に継続して参加していました。

テレビ新広島では、プロ野球広島東洋カープ主催試合の中継が全国ネットとなった場合、19時3分まで『ナイター情報』を放送した後、『クイズクロス5』を3分遅れで放送。その後、19時33分からカープ中継に接続するという工夫を凝らしていました。他球団主催ゲームの中継や、全国ネット番組の差し替えによるTSSローカル放送の場合も、同様の対応を取るか、19時33分開始のローカル番組として制作していました。他の系列局には、フジテレビ経由で裏送り配信が行われていました。

地域密着を象徴する挿入歌

1987年からは、柏木由紀子さんが歌う『心のリボン』（作詞：荒木とよひさ、作曲：三木たかし）が番組の挿入歌として使用されました。しかし、このレコードはテレビ新広島の委託製作盤としてのみ制作され、全国販売されることはありませんでした。このローカル色の強い挿入歌は、番組が中国地方に根付いた番組であることを象徴するものでした。

制作スタッフと番組の遺産

番組の構成は野村六助さん、プロデューサーは山中敏治さん、ディレクターは滝本稔紘さんが務めました。制作協力はTSSプロダクション、技術協力は広島エンタープライズ、協力は篠本照明、中国ステージ、イラストはなかはらかぜさんが担当しました。これらのスタッフの努力によって、『クイズクロス5』は5年間もの間、中国地方の視聴者を魅了し続けました。

『クイズクロス5』は、中国地方のローカル局が制作した番組でありながら、独自の工夫と地域への密着度で多くの視聴者から愛された番組でした。坂本九さんの急逝という悲しい出来事も経験しながらも、制作スタッフや出演者の努力によって、5年間という比較的長い期間放送されました。その歴史は、中国地方の放送史に貴重な1ページとして刻まれています。

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