クイズMr.ロンリー

クイズMr.ロンリー

『クイズMr.ロンリー』は、1982年4月17日から1987年3月24日まで、毎日放送（MBS）で制作・放送された視聴者参加型のクイズ番組である。東通企画との共同制作体制をとっていた。本項目では、番組がリニューアルされた『クイズMr.ロンリー2』についても併せて解説する。

概要

この番組の最大の特徴は、解答者が男性に限定される一方、クイズを出題するのが30名の女性参加者という、性別によって役割が明確に分かれた進行方式にあった。男性解答者は女性が出題する問題に正解を重ねることで賞金や賞品を獲得できたが、女性出題者は自ら解答する必要はなく、自身の出題に対して男性解答者が正解するだけで賞金と賞品が得られた。この仕組みから、「女性優位のクイズ番組」として知られた。

番組の司会は、落語家としても活躍するタレントの桂文珍が担当した。収録は、当時大阪府吹田市にあった毎日放送千里丘放送センター内の公開収録施設「ミリカホール」で行われた。この場所は、同時期に放送されていた他の人気番組の収録にも使用されていた。

番組開始当初は関西ローカルとして放送されていたが、1983年10月2日からはTBS系列局でも放送される全国ネット番組に昇格した。この全国ネット期間は1985年9月29日まで続き、当時フジテレビ系列とのクロスネット局だったテレビ山口や、開局前のサービス放送期間だったテレビユー福島でも放送された。しかし、1985年10月の改編で再び関西ローカル番組に戻り、最終回を迎える1987年3月までは火曜日の22時台に放送されていた。関西ローカル時代においても、一部の系列局では番組販売形式での遅れネット放送が行われていた。

全国ネット以外の系列局でも、フジテレビ系列の福井テレビや日本テレビ系列の南海放送などが遅れて放送していた。

放送時間

基準時間は日本標準時（JST）である。

クイズMr.ロンリー

土曜 12:00 - 12:55 （1982年4月 - 1982年9月）：関西ローカルとして放送開始。
土曜 12:00 - 12:54 （1982年10月 - 1983年9月）：放送時間が1分短縮。
日曜 13:00 - 13:54 （1983年10月 - 1985年3月）：TBS系列全国ネットに昇格。これにより、朝日放送の『パネルクイズ アタック25』と時間帯が重複した。
日曜 13:40 - 14:24 （1985年4月 - 1985年9月）：放送開始時間が40分繰り下がり、枠が10分縮小。これにより『アタック25』との競合時間を最小限にした。
火曜 22:00 - 22:54 （1985年10月 - 1987年3月）：再び関西ローカル化。放送枠が10分拡大。一部系列局では同時ネット。

クイズMr.ロンリー2

火曜 19:00 - 19:30 （1991年4月 - 1991年9月）：改題・リニューアルして復活。放送枠は30分に短縮。

ルール・その他詳細

クイズMr.ロンリー時代

解答者がクイズを受ける女性を選ぶ際は、30名の女性の席にあるランプが点滅する中、解答者が「セレクトスイッチオン！」の合図でボタンを押し、ランプが止まった女性が出題役となる。女性は問題出題前に、用意された複数の賞品パネルの中から1枚を選択する。

男性解答者が正解すると、解答者の賞金積立額が増加し、同時に出題役の女性も同額の賞金と、事前に選んだ賞品を獲得できる。

賞品パネルの中には特別な効果を持つものもあった。

ボーナス: 正解時の賞金が2倍になる。その後の解答者の不正解に関わらず、ボーナス分の賞金は確保される（後に廃止）。
キッス: もう1枚賞品パネルを選べる。さらに正解すれば、出題者から解答者にキッスがプレゼントされる。
デビル: 正解すれば賞金・賞品は双方に得られるが、不正解の場合、出題女性の賞金と賞品が全て没収される（後に廃止）。
ルーレットマーク: 出題者がルーレットで正解時の賞金倍増に挑戦。結果に応じて正解数が加算される（「1UP」で2問分、「2UP」で3問分）。
☆: 問題解答前に自動的に賞金が加算される。
ガイコツ: 出題女性は賞金を得られず、解答者はそれまでの正解数と積み立て賞金が全て没収され、最初からやり直しとなる（後に廃止）。

男性解答者は一度でも問題を間違えると失格となり、獲得していた賞品は没収され、賞金は半額となる。出題女性が獲得できなかった賞品の一部は視聴者プレゼントとなった。

出題女性を選ぶ前であれば、解答者は自ら途中棄権することも可能で、その時点での賞金と賞品を持ち帰ることができた。

12問連続正解のパーフェクトを達成すると、天井から大量の紙吹雪と風船が降り、賞品と賞金50万円を獲得。ただし、賞金と賞品の合計額が100万円を超えた場合は、解答者が不要な賞品を返す必要があった。

毎週、全出場者に参加賞が贈られた。男性解答者には番組特製ジャンパーとトレーナー、女性出題者にはスポンサーからの賞品が贈られた。全国ネット時代にはP&Gサンホームやフルベール化粧品などが筆頭スポンサーだった。

正解数に応じた賞金額は以下の通りだった。
1問正解：¥5,000
2問正解：¥10,000
3問正解：¥20,000
4問正解：¥30,000
5問正解：¥50,000
6問正解：¥70,000
7問正解：¥100,000
8問正解：¥150,000
9問正解：¥200,000
10問正解：¥300,000
11問正解：¥400,000
12問正解：¥500,000

各回で最も多く正解した解答者は、クイズ終了後に「チャンピオン席」に着席。その後の解答者がチャンピオンの正解数を上回ると、前のチャンピオンはスタジオから「転送」されるというユニークな演出が施された。転送シーンでは全身がCG処理され、フェードアウトして消えるように見えた。文珍が「〇〇さん、どこに転送されますか？」と尋ねるやり取りも恒例で、解答者は自宅などを答えることが多かった。番組オープニングでは、逆に文珍がスタジオに「転送」されて登場する演出もあった。

シンキングタイムには、フランク・ミルズの楽曲「The Happy Song」を編集したものがBGMとして使用された。

規定の時間が終了した時点でチャンピオン席に座っていた解答者は「今週のチャンピオン」となり、海外旅行（バリ島、ハワイなど）を賭けたチャレンジクイズに挑戦。1問正解すれば、解答者と出題者の双方が海外旅行を獲得できた。

チャンピオンの正解数に満たないまま時間切れとなった解答者は、次週も引き続き番組に出場できた。

解答者は男性、出題者は女性に限定されていた（特別企画を除く）。女性はグループでの参加も可能だった。

お笑いコンビの海原さおり・しおり（後に非常階段）は、女性出題者のサポートや、男性解答者への鋭いツッコミ、文珍とのオープニングトークなどを担当し、番組を盛り上げた。

男性解答者が不正解した場合、女性出題者から「早く〇〇へ帰って下さい」といった容赦ないコメントが浴びせられることも恒例となっていた。

クイズMr.ロンリー2時代

『クイズMr.ロンリー2』では一部ルールが変更された。

海外旅行への挑戦条件が変更され、各回のチャンピオンではなく、累計で5回チャンピオンとして勝ち抜かなければチャレンジクイズに進めなくなった。
パーフェクト達成の条件が10問正解に変更された（賞金テーブルから¥5,000と¥150,000がなくなり、10問目が¥500,000となる）。
賞品パネルが9枚に減り、引いたパネルは補充される方式となり、常に9枚から選択するようになった。
特別賞パネルは「1UP」「2UP」「キッス」のみとなり、これらを引くと追加でもう1枚パネルを引けた。「ガイコツ」は廃止された。
チャンピオンとして5回勝ち抜くか、パーフェクト（10問正解）を達成すると、オーストラリア旅行を賭けたチャレンジクイズに挑戦。正解すれば解答者と出題者の双方が旅行を獲得できた。
解答中に時間切れとなった場合、解答者とチャンピオンはその時点の成績を維持したまま、次週の放送で続きに挑戦できた。
番組の最後に「女性のためのハワイチャンス」という新コーナーが設けられた。時間切れとなった解答者が1問に挑戦し、正解すれば出題女性のみがハワイ旅行を獲得できた（解答者は何も得られない）。
オープニングでの文珍の登場シーンが、スタジオに「転送」される演出から、画面右側から歩いて登場する演出に変更された。
チャンピオンの「転送」演出も変更され、背景が渦巻状の異次元空間になり、チャンピオンがそこに吸い込まれるCG演出となった。後に観客が覗き込む演出も加わった。
解答席の後ろに、正解数に応じた賞金が視覚的に表示されるマネーツリーが設置された。
BGMの一部が変更されたが、多くは初代からの流用だった。特にテーマ曲、ジングル、CM前後のBGM、転送シーン、ハワイチャンスのBGMが新しくなった（転送シーンは旧BGMと効果音をミックス）。
初代で女性サポートを担当した海原さおり・しおりや非常階段に代わり、町野あかりと麻生みどりが同様の役割を担った。

恒例シーン

「○万！ ○万！」: 積み立て賞金が高額になった解答者の挑戦を阻止しようと、出題女性陣が一斉に現在の賞金額をコールする。6問目あたりから始まることが多かった。
「せーの、転送！」「〇〇へ転送！」: 後続の解答者に正解数を抜かれてチャンピオンの座を失った解答者（旧チャンピオン）が「転送」される際に、文珍や現解答者、その応援団が唱和する掛け声。転送終了後、文珍が「あらら〜、消えましたねぇ〜」などとわざとらしくコメントするのがお決まりだった。
「ギャラより高い賞金だ〜」: 番組の最後にその回の賞金総額が発表され、高額になった場合に文珍と女性出演者が童謡「こいのぼり」の替え歌で歌った。

スタッフ・備考

初代『クイズMr.ロンリー』の最終回には、過去のパーフェクト達成者である永田喜彰や、『アメリカ横断ウルトラクイズ』初代チャンピオンの松尾清三が出場した。松尾は10問正解で15万円を獲得したが、最後の海外旅行チャレンジクイズには失敗した。松尾は同じミリカホール収録だった『ダイビングクイズ』でも最終回のチャンピオンとなっている。

プロデューサーの十河壮吉は、番組放送開始の1か月後に読売テレビでスタートし、文珍が司会を務めた『おもしろサンデー』にもディレクターとして関わっていた。

主なスタッフは以下の通り。

クイズMr.ロンリー

女性応援団長：海原さおり・しおり、杉かおり、椎菜、非常階段
音楽：中川昌
ナレーター：松井昭憲（当時MBSアナウンサー）
構成：本田順一、北浦康行 ほか
プロデューサー：柳川正邦、金子俊彦（MBS）、春藤憲司、十河壮吉（東通企画） ほか

クイズMr.ロンリー2

構成：本田順一、北浦康行 ほか
ナレーター：千葉猛（MBSアナウンサー）
テーマ音楽：平山節雄
プロデューサー：春藤憲伺（MBS）、十河壮吉、安田貞夫（東通企画） ほか

製作著作はいずれも毎日放送、東通企画であった。

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