クインシー・ポーター

クインシー・ポーター（1897年11月7日 - 1966年11月12日）は、20世紀のアメリカ合衆国を代表する作曲家の一人であり、ヴィオラ奏者、そして教育者としても多大な貢献をしました。

コネチカット州ニューヘイヴンで生まれたポーターは、幼い頃から音楽の才能を発揮し、イェール大学で作曲をホレイショ・パーカーに師事しました。その後、パリに留学し、ヴァンサン・ダンディに作曲を学び、帰国後はエルネスト・ブロッホの薫陶を受けました。ブロッホの音楽に対する情熱と革新的な思想は、ポーターに大きな影響を与え、彼はブロッホの最も熱心な信奉者の一人となりました。

1930年代から、ポーターは教育活動に力を入れました。1940年代前半にはニューイングランド音楽院の院長に就任し、後進の育成に尽力しました。1946年からは母校であるイェール大学の教授として教鞭をとり、1965年までその職を務めました。彼は作曲家、演奏家としてだけでなく、教育者としても多くの才能を育て、アメリカの音楽界に貢献しました。

ポーターは、いわゆる「絶対音楽」の作曲家として知られています。彼の作品は、特定の物語や感情を描写するのではなく、純粋な音楽形式と構造を探求しています。彼は9つの弦楽四重奏曲（1923年 - 1953年）を作曲し、これらの作品は彼の代表作として高く評価されています。また、チェンバロ協奏曲やヴィオラ協奏曲をはじめとする複数の協奏曲、2つの交響曲、弦楽オーケストラのための「ウクライナ組曲」など、多様なジャンルの作品を手がけました。

特に「無伴奏ヴィオラのための組曲」は、ヴィオラ奏者にとって重要なレパートリーとして知られており、今井信子をはじめとする多くの著名なヴィオラ奏者によって演奏されています。この作品は、ヴィオラの可能性を最大限に引き出し、その豊かな音色と表現力を堪能できる作品として評価されています。

ブロッホに師事する以前のポーターは、ニューイングランドの作曲家に影響力を持っていたブラームスの影響を受けていました。しかし、ブロッホの影響を受けてからは、彼の作風は大きく変化しました。とげとげしいリズムと不協和音程の多用、そして対位法の活用が目立つようになり、典型的な新古典主義様式で作曲を続けました。彼の音楽は、時に難解でありながらも、その緻密な構成と情熱的な表現によって、聴衆を魅了しました。

ポーターの作品は、今日でも多くの演奏家によって演奏され、録音されています。彼の音楽は、アメリカの音楽史における重要な位置を占めており、次世代の作曲家や演奏家に影響を与え続けています。

主要作品
交響曲 第1番（1934年）
交響曲 第2番（1962年）
ウクライナ組曲（1925年）
ニューイングランドのエピソード（1958年）
2台のピアノのための小協奏曲（1953年着手?）
チェンバロ協奏曲 （1959年? 1960年?）
ヴィオラ協奏曲 （1948年）
オーボエ五重奏曲「悲歌調」
クラリネット五重奏曲
ヴァイオリン・ソナタ第1番 (1926年)
ヴァイオリン・ソナタ第2番 (1929年)
無伴奏ヴィオラのための組曲

著書
Study of sixteenth century counterpoint, based on the works of Orlando di Lasso. Boston: Loomis. 3rd ed. pub. around 1948.


参考文献
Tawa, Nicholas E. (2001) From psalm to symphony: a history of music in New England - Google ブックス. UPNE. ISBN 1-55553-491-0. pp. 318-22.

外部リンク
Biography There has been a recording released of the 7th quartet since this was written in 1999.
Biography at Music on the Web

もう一度検索