今井信子

今井信子：日本が誇るヴィオラ奏者

今井信子（いまい のぶこ）は、1943年3月18日に東京都で生まれた著名なヴィオラ奏者です。彼女は水戸室内管弦楽団の一員としても活動しており、1983年から2003年まではドイツ国立デトモルト音楽大学の教授として後進の指導にあたりました。現在でも、ジュネーヴ音楽院やアムステルダム音楽院などで教授を務め、世界各国で演奏活動を続けています。1988年以降はアンドレア・グァルネリによる1690年製の楽器を使用しています。

音楽の旅の始まり

彼女は6歳からヴァイオリンを始め、桐朋学園大学で室内楽を齋藤秀雄に学びました。1964年には桐朋学園オーケストラのアメリカ・ツアーでコンサートミストレスを務めた後、タングルウッド音楽祭でボストン交響楽団によるリヒャルト・シュトラウスの『ドン・キホーテ』を聴いたのをきっかけにヴィオラに転向します。翌年にはイェール大学大学院に入学し、その後ジュリアード音楽院に転校してワルター・トランプラーに師事しました。

国際的な栄光

今井は1967年にミュンヘン国際音楽コンクール、1968年にはジュネーブ国際音楽コンクールで最高位を獲得し、国際的なスターダムを登りつめます。1973年から1978年までフェルメール弦楽四重奏団に参加しつつ、北イリノイ大学で助教授を務めました。1978年からはヨーロッパでソリストとしてのキャリアを築き、音楽教育者としてもデトモルト音楽大学の教授を務めるなど、多方面で活動を展開しました。

教育と後進の育成

2003年以降もアムステルダム音楽院、ジュネーヴ音楽院、シオンのConservatoire Supérieur et Académie de Musique Tibor Vargaで教育に力を注ぎ、1992年からは東京で「ヴィオラスペース」という音楽祭を開催し、後進の育成にも尽力しています。2009年からは東京国際ヴィオラコンクールの審査委員長としても活躍しています。

受賞歴と業績

今井信子は数々の受賞歴を持っています。1970年には西ドイツ音楽功労賞、1993年にはエイボン女性芸術賞、文化庁芸術選奨文部大臣賞を受賞しました。その後も1994年京都音楽賞、1995年モービル音楽賞、1996年には毎日芸術賞やサントリー音楽賞を受賞するなど、業績は多岐にわたります。2013年には旭日小綬章を授与され、国民からの評価も高まりました。

レパートリーと新たな挑戦

彼女は武満徹のヴィオラ協奏曲『ア・ストリング・アラウンド・オータム』や『鳥が道に降りてきた』のなど多くの現代曲を初演しており、バッハの無伴奏チェロ組曲をヴィオラ用として録音するなど、豊かなレパートリー開拓にも貢献しています。こうした努力によって、ヴィオラという楽器の可能性を広げ、多くの人々にその魅力を伝えています。

著書

また、彼女の経験や思いを纏めた著書『憧れ　ヴィオラとともに』は春秋社から2007年に出版されています。この本では彼女の音楽への情熱や教育活動について語られています。

今井信子はそのキャリアを通じて、日本の音楽界に大きな影響を与え続けています。

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