クイーン II

クイーンの革新性が光るコンセプトアルバム『クイーンII』

『クイーンII』は、イギリスのロックバンド、クイーンが1974年に発表した2枚目のアルバムです。このアルバムは、彼らの初期の作品の中でも特にコンセプト性が強く、その後のクイーンの音楽性を語る上で欠かせない作品として知られています。日本では『ホワイト・クイーンとブラック・クイーンの啓示』という副題が付けられていました。

徹底された「白と黒」のコンセプト

このアルバム最大の特徴は、レコードのA面（サイドホワイト）とB面（サイドブラック）で明確にテーマを分けた構成です。サイドホワイトはギタリストのブライアン・メイが中心となって作曲した楽曲で構成され、サイドブラックはボーカルのフレディ・マーキュリーが作曲した楽曲で構成されています。この白と黒の対比は、楽曲だけでなく、アルバムジャケットのデザインや、見開き写真にも反映されており、アルバム全体を通して一貫したコンセプトが貫かれています。

特にジャケットは、フレディ以外のメンバーが白い衣装を着用した写真が希望されていましたが、フレディの強い要望により黒のジャケットが採用されました。このジャケットは、後にベストビデオ集「グレイテスト・ビデオ・ヒッツ1」にも流用され、アルバムのイメージを決定づける重要な要素となっています。また、ライブにおいても、この白と黒のコンセプトを意識した照明演出が行われていました。しかし、CD化の際にはこのコンセプトは失われ、曲順が変更されました。ただ、アルバムのコンセプトを可能な限り守るため、「オウガ・バトル」の冒頭には、意図的に長めの空白が挿入されています。

多様な音楽性と実験的な試み

デビュー当初から、クイーンはその音楽性に多様な要素を取り入れていました。グラムロックの影響を受けたルックス、クラシック音楽の影響を受けた楽曲構成、組曲やメドレーのような形式を取り入れたり、アルバムのA面とB面でトータルコンセプトを持たせたりするなど、プログレッシブ・ロック的な要素を取り入れたとも言えます。

『クイーンII』では、前作『戦慄の王女』での酷評に対する反発もあり、その音楽性はより実験的になっています。各メンバーの個性が際立つ楽曲が収録されており、クイーンの音楽的な幅広さを示す作品となりました。特にフレディ・マーキュリーの作曲能力が遺憾なく発揮されており、後のクイーンの音楽性を決定づける重要な作品となりました。

各方面からの評価

『クイーンII』は、音楽評論家やファンから高い評価を得ています。そのコンセプト性や、実験的な楽曲構成は、クイーンの音楽性を語る上で欠かせない要素となっています。また、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが、「オレが死んだら『クイーンII』を棺に入れてくれ」と述べたという逸話も残っており、このアルバムが多くのミュージシャンに影響を与えたことがうかがえます。

アルバム参加メンバー

フレディ・マーキュリー – ボーカル、コーラス、ピアノ、ハープシコード
ブライアン・メイ – ギター、ボーカル、コーラス、ピアノ、チューブラーベル
ロジャー・メドウズ・テイラー – ドラムス、コーラス、ボーカル、パーカッション、マリンバ、ゴング
ジョン・ディーコン – ベース、ギター

プロデューサー

ロイ・トーマス・ベイカー – プロデューサー、カスタネット、スタイロフォン
ロビン・ジェフリー・ケーブル - プロデューサー

各国チャート最高順位

全英 5位（ミュージック・ウィーク）
全米 49位（ビルボード）
* 日本 26位（オリコン）

『クイーンII』は、その後のクイーンの音楽性を方向づけた重要な作品であり、現在でも多くのファンに愛されています。

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