クイーンズランド鉄道

QRリミテッド（クイーンズランド鉄道）について

QRリミテッド（QR Limited、旧 Queensland Rail, Queensland Railways）は、オーストラリア・クイーンズランド州の州営鉄道会社であり、クイーンズランド交通省の管轄下にあります。鉄道インフラの整備はもとより、都市圏旅客輸送（シティートレイン）、長距離旅客輸送（トラベルトレイン）、貨物輸送（QRナショナル）といった幅広い列車運行を手掛けています。

歴史

1865年、クイーンズランド植民地において、イプスウィッチ駅 - グランドチェスター駅（開業当時の名称はBigge's Camp）間で最初の鉄道路線が開業しました。この路線は、狭軌である1,067 mm幅（3フィート6インチ軌間）を採用した幹線としては、世界でも初期の事例の一つです。狭軌が採用された背景には、急勾配区間での建設費を抑制するという目的がありました。

その後、ブリスベン、メリーボロー、バンダバーグ、グラッドストン、ロックハンプトン、マッカイ、ボーエン、タウンズビル、ケアンズ、クックタウンといった東海岸の港湾都市から内陸へと路線網が拡大していきました。これらの路線は、クックタウンからの路線を除き、1888年から1924年にかけて建設されたノース・コースト線によって連結されました。1968年以降は、重量石炭輸送用の貨物線も建設されています。

1979年からは、ブリスベン都市圏の路線が電化されました。1986年からは重量石炭輸送用の貨物線の多くが電化され、ノース・コースト線のブリスベン - ロックハンプトン間は、オーストラリアで唯一の重要な地方路線の電化区間となりました。

年表

1865年: イプスウィッチ駅 - グランドチェスター駅間で最初の路線が開業。
1999年: 法定の州営会社となり、QRの名称を使用開始。
2002年: ニューサウスウェールズ州カシノを拠点とする貨物鉄道会社ノーザン・リバーズ鉄道を買収し、州間貨物鉄道事業（インタレール）を開始。
2005年: パシフィック・ナショナルが参入し、自社の路線で初めて他社との競争が発生。
2005年: QRナショナルを立ち上げ、ニューサウスウェールズ州ハンター・バレーで石炭輸送を開始。
2005年: 運送会社CRTグループを買収。
2006年: 西オーストラリア州の貨物鉄道会社オーストラリア鉄道グループ (ARG) を買収。
2007年7月1日: ‘Company Government Owned Corporation (GOC)’となる。それまでは Government Owned Corporation であった。これにより、QR は会社法 (Corporations Act) 上の公開会社となった。

路線

2008年6月30日現在、QRの営業中の路線延長は8,048kmに及びます。東西方向に3本、南北方向に1本の長大な路線があり、そこから複数の路線が分岐しています。また、北部には他の路線と接続していない独立した路線も存在します。ほとんどの区間は狭軌 (1067mm) ですが、ニューサウスウェールズ州との州間連絡鉄道となっている区間は標準軌 (1435mm) です。

メイン線 - ウェスタン線・サザン線: 東海岸のブリスベン市と州西部内陸部のサウス・ウェスト地方を結びます。トゥーンバ駅までがメイン線で、そこから西に向かうウェスタン線と南に向かうサザン線に分かれます。
セントラル線: 東海岸のロックハンプトン市と州西部内陸部のセントラル・ウェスト地方を結びます。
マウント・アイザ線: 東海岸のタウンズビル市と州西部のノース・ウェスト地方を結びます。
ノース・コースト線: 東海岸に沿ってブリスベン市とケアンズ市を結びます。ブリスベン市でメイン線およびゴールドコースト線と、ロックハンプトン市でセントラル線と、タウンズビル市でマウント・アイザ線と接続します。
ゴールドコースト線: 東海岸のブリスベン市とゴールドコースト市を結びます。ブリスベン市とニューサウスウェールズ州を結ぶ標準軌線も分岐しています。
ノーマントン駅 - クロイドン駅間: カーペンタリア市のノーマントン駅からクロイドン市のクロイドン駅までを結ぶ、全長151.52kmの路線です。軌間は1067mmで、全線単線・非電化となっています。他の鉄道路線とは接続しておらず、孤立した路線です。観光列車が週1往復運行されています。
* クックタウン駅 - ローラ駅間（廃線）: かつてファー・ノース・クイーンズランド地方のクックタウン駅とローラ駅を結んでいた路線です。ノース・コースト線が完成した際にも他の鉄道路線とは接続せず、後に廃止されました。

まとめ

QRリミテッドは、クイーンズランド州の鉄道輸送を担う重要な役割を果たしています。その歴史は古く、19世紀から州内の発展とともに路線網を拡大してきました。現在では、旅客輸送から貨物輸送まで幅広いサービスを提供し、クイーンズランド州の経済と社会を支えています。

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