3フィート6インチ軌間

1067mm軌間（三六軌間）について

1067mm軌間は、狭軌の一種であり、その幅から「三六軌間」とも呼ばれます。これは、3フィート6インチに相当します。19世紀半ばから、イギリス帝国において広く採用され、特にケープ植民地で普及したことから「ケープ軌間」としても知られています。この軌間は、日本や台湾など、いくつかの国で標準軌として採用されています。

歴史

1067mm軌間の歴史は、18世紀末に遡ります。

1795年: イングランドのリトル・イートン・ギャングウェイが、馬車鉄道として建設された最初の例の一つです。
1809年: シルクストーンワゴンウェイが開業し、炭鉱と運河を結びました。
1862年: ノルウェーのカール・アブラハム・ピルが、レーロース線で初めて1067mm軌間の鉄道を建設しました。
1865年: クイーンズランド鉄道が、アイルランドの技師アブラハム・フィッツギボンとチャールズ・フォックスの推奨で建設されました。
1867年: スペインのカスティージョデブイトロン鉱山からウエルバまでの鉄道が1067mm軌間で建設されました。
1868年: チャールズ・ダグラス・フォックスが、コスタリカの1067mm軌間鉄道の調査をエドモンド・ラッジに依頼しました。
1871年: カナダのトロント・グレイ・ブルース鉄道とトロント・ニピッシング鉄道が開業し、ピルとフィッツギボンが推進し、ラッジが調査しました。
1872年: ロバート・フランシス・フェアリーが著書で1067mm軌間の鉄道建設を提唱しました。また、エドモンド・モレルが、日本初の鉄道建設において1067mm軌間を提唱し、開業に至りました。
1873年: ニュージーランドで最初の1067mm軌間鉄道が開業しました。ケープ植民地でも、経済的な理由からこの軌間が採用され、南アフリカの標準軌となりました。
1876年: ナタル植民地が、ダーバンネットワークの軌間を1435mmから1067mmに改軌しました。その後、南アフリカ各地で1067mm軌間の鉄道が建設されました。
19世紀後半〜20世紀初頭: イギリスとオランダで、1067mm軌間の路面電車が多く建設されました。

各国の呼称

ブレーキンゲ軌間: スウェーデン、ブレーキンゲ県の鉄道で採用されていたことに由来します。
ケープ軌間: 南アフリカのケープ植民地にちなんで名付けられ、オランダ語、ドイツ語、ノルウェー語、フランス語などでも使用されています。
コロニアル軌間: ニュージーランドで使用されていた名称です。
3フィート6インチ軌間: オーストラリアで使われ、狭軌を指す言葉としても使用されます。

類似の軌間

輪軸の調整は必要ですが、1067mmに近い軌間も存在します。

1100mm: サンタ・テレサ・トラムで使用。
1093mm: ヒューピング - アッタースベルク - リッダーヒッタン鉄道で使用。
1055mm: アルジェリア国鉄で使用。
1050mm: ヒジャーズ鉄道で使用。
1000mm: メーターゲージ。主に東南アジアで使用。

導入例

1067mm軌間は、その経済性から多くの国や地域で採用されました。

日本: 国鉄（現JR）や私鉄の一部で広く採用され、現在も多くの路線で使用されています。
台湾: 台湾鉄路管理局の路線で採用されています。
南アフリカ: ケープ植民地を発祥として、広く普及しました。
オーストラリア: クイーンズランド州などで採用されています。
ニュージーランド: 全土で採用されています。

注記

1960年代のメートル法移行後、南アフリカ鉄道では公式には1065mmと表記されるようになりました。

外部リンク

South African Trains – A Pictorial Encyclopaedia
Why Did Japan Choose the 3'6" Narrow Gauge?

関連項目

保存鉄道
* 軌間の一覧

この情報は、1067mm軌間の歴史、各国の呼称、類似の軌間、導入事例について網羅的に解説しています。鉄道ファンや歴史研究者の方々に役立つ情報となるでしょう。

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