クエスチョニング (セクシャリティおよびジェンダー)

クエスチョニング：ジェンダーとセクシュアリティの探求

クエスチョニングとは、生物学的な性とは別に、自身のジェンダー（社会的性別）、性同一性、そして性的指向について探求し、確信を持てない状態にある人を指す言葉です。単に迷っている、探している、あるいは既存の社会的な分類に当てはめることに不安を感じている、といった様々な状況を含みます。

この状態にある人は、自身のセクシュアリティやジェンダーアイデンティティを明確に定義できない、あるいは定義することに抵抗を感じている可能性があります。これは決して異常な状態ではなく、特に思春期においては、アイデンティティの形成過程として非常に多くの人が経験するものです。

LGBTQAにおけるクエスチョニング

しばしば、LGBT（レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー）の後に「Q」が追加され、LGBTQ、あるいはさらに無性愛（Asexual）を含めてLGBTQAと表記されることがあります。この「Q」は、クエスチョニング（Questioning）またはクィア（Queer）のいずれかを意味し、ジェンダーやセクシュアリティに関して探求中である人々を表しています。多くのLGBT関連団体や資料では、クエスチョニングの状態にある人を含むように配慮されています。

アメリカ心理学会の見解

アメリカ心理学会は、青年期の性的な意識の探求は正常な発達過程であり、多くの若者が自身の性的指向について疑問を持つと指摘しています。この時期には、同性愛的な感情や、自身の性的指向に関する迷いを経験する若者もいます。この迷いは、場合によっては鬱病などの精神的な問題につながる可能性もあるため、適切なサポートが必要です。

社会的偏見とクエスチョニング

クエスチョニングの若者は、社会的な偏見（ホモフォビア）を恐れて、自身の性的指向やジェンダーアイデンティティを隠したり、カミングアウトをためらったりする可能性があります。しかし、自身のアイデンティティを受け入れることで、迷いが解消される場合もあります。サポートを受けられる環境があれば、より健康的に思春期を過ごせる可能性が高まります。

一方で、いじめや仲間はずれといった抑圧的な環境に置かれたクエスチョニングの若者は、自殺念慮や、無防備な性交渉、アルコールや薬物乱用といったリスクが高まることが指摘されています。これは、異性愛者や他のLGBTの人々からの疎外感も一因として考えられています。

世界保健機関の分類

性同一性や性的指向の不確実性に関する不安障害や鬱病は、世界保健機関（WHO）の国際疾病分類（ICD-10）において、性成熟障害として分類されています。ただし、これは自己による性同一性の確立が困難である場合であり、性的指向や性同一性を抑圧された状態や喪失した状態を示す自我違和的な性指向とは区別されています。

思春期と成人期のクエスチョニング

思春期はアイデンティティ形成の時期であり、自身のセクシュアリティやジェンダーについて疑問を持つことは非常に一般的です。多くの若者が、この段階で大きな混乱や不確実さを経験します。研究によると、57％の人が11歳から15歳の間に、セクシュアリティやジェンダーについて疑問を抱いたことがあるとされています。

しかし、性同一性や性的指向は流動的であるため、成人期になっても、それらについて探求したり、疑問を感じたりすることはあります。複数の研究では、成人期においても、生涯を通じて惹かれる相手や性同一性に変化が見られることが示されています。

結論

クエスチョニングは、決して異常な状態ではなく、多くの場合、思春期や成人期における正常な発達過程の一部です。自身のジェンダーやセクシュアリティについて探求することは、健全な自己理解への重要なステップです。クエスチョニングの状態にある人々に対しては、理解とサポートが必要です。社会全体でLGBTQIA+への理解を深め、誰もが安心して自分らしく生きられる社会を目指していくことが重要です。

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