クライド・ライト

クライド・ライト：異色の経歴を持つ元メジャーリーガー

クライド・ライト（Clyde Wright）は、1943年2月20日生まれ、アメリカ合衆国テネシー州出身の元プロ野球選手。左投右打の投手として、MLBとNPBで活躍した。

MLBでのキャリア

カーソン・ニューマン大学を経て、ミネソタ・ツインズからドラフト指名を受けプロ入り。その後、カリフォルニア・エンゼルス（現ロサンゼルス・エンゼルス）に移籍し、1966年にメジャーデビューを果たす。

3年目の1968年には10勝6敗と好成績を残すも、翌年は不調に終わる。しかし、チームメイトのジム・フレゴシの勧めでウインターリーグに参加し、スクリューボールとチェンジアップを習得。これが転機となり、1970年には22勝12敗、防御率2.83という自己最高の成績を収め、ア・リーグカムバック賞を受賞した。

同年7月3日には、エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイム開場初のノーヒットノーランを達成。2009年時点において、エンゼルスの球団史上唯一の左腕20勝投手という記録も保持している。

その後も、1972年から1974年まで2桁勝利を記録したが、ミルウォーキー・ブルワーズ、テキサス・レンジャーズと移籍。MLBでの通算成績は100勝となった。

読売ジャイアンツでのキャリア

1976年、読売ジャイアンツにMLB出身の外国人投手として球団初の入団を果たす。来日後3シーズンにわたってプレーし、日本の野球ファンにも強烈な印象を与えた。

普段は温厚な性格だったが、マウンド上では感情を爆発させることもあり、「クレイジー・ライト」の異名を取った。審判や相手打者と衝突したり、ユニフォームを引き裂いたり、カメラマンのカメラを壊したりといった逸話も残っている。

1978年に事実上退団し、現役引退。1977年には規定投球回に到達したが、以降、巨人の外国人左腕投手で規定投球回に到達したのは、2001年のダレル・メイ、自前の外国人左腕投手に限れば2015年のアーロン・ポレダと、長い期間を要した。

引退後

引退後は実業家として成功を収め、自身のバーベキュー店「CLYDE WRIGHT'S TENNESSEE BAR-B-QUE」を経営。ジャック・ダニエルを隠し味にしたポーク・サンドイッチは、エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイムで販売され、人気を博している。

2018年には、エンゼルスの球団職員として紹介された。

家族

息子は元メジャーリーガーのジャレット・ライト（右投げ投手）。1970年のノーヒットノーラン達成時には、最後の打者を二塁ゴロに打ち取り、二塁手のサンディー・アロマー・シニアがダブルプレーを完成させた。その後、1997年のワールドシリーズでは、ジャレット・ライトとサンディー・アロマー・ジュニア、そしてフェリペ・アルーの息子モイセス・アルーがそれぞれ異なるチームに所属し対戦するという、興味深い巡り合わせもあった。

まとめ

クライド・ライトは、MLBとNPBの両方で実績を残した名投手である。特に、読売ジャイアンツでの破天荒なキャラクターは、多くのファンを魅了した。引退後も実業家として成功を収めており、その多才ぶりを発揮している。

主な記録・表彰

MLBカムバック賞 (1970年)
MLBノーヒットノーラン：1回 (1970年7月3日)
MLBオールスターゲーム選出：1回 (1970年)
NPB初登板・初勝利：1976年5月29日

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