クライド・ラブレット

クライド・ラブレット：バスケットボールのパイオニア

クライド・ラブレット（Clyde Lovellette、1929年9月7日 - 2016年3月9日）は、インディアナ州出身のバスケットボール選手です。1950年代のNBAでセンターとして活躍し、その卓越した才能で数々の栄光を手にしました。彼は、NCAAチャンピオン、オリンピック金メダル、NBAファイナル優勝を全て達成した史上初の選手であり、1988年にはバスケットボール殿堂入りを果たしています。

学生時代：カンザス大学での輝かしいキャリア

ラブレットはカンザス大学でプレイし、その才能を早くから開花させました。彼はMVPに選ばれ、3度オールアメリカンに選出されるなど、大学バスケ界を代表する選手として名を馳せました。3シーズン連続でカンファレンスの得点王に輝き、NCAAトーナメントでは通算141得点という新記録を樹立しました。

最終学年となった1952年には、全米得点ランキング1位となる平均28.4得点を記録し、チームをNCAAトーナメント優勝に導きました。得点王とNCAA優勝を同時に成し遂げた史上唯一の選手として、その名を歴史に刻んでいます。また、同年のヘルシンキオリンピックではアメリカ代表として金メダルを獲得。チームの得点源として活躍しました。大学時代のチームメイトには、後に伝説的なコーチとなるディーン・スミスがいます。

NBAキャリア：輝かしい足跡

ミネアポリス・レイカーズ時代（1953-1957）

1952年のNBAドラフトでミネアポリス・レイカーズから全体9位指名を受け、NBA入りを果たしました。当時のレイカーズは、ジョージ・マイカン、ジム・ポラード、ヴァーン・ミッケルセンという強力なフロントラインを擁しており、ラブレットは彼らのサポート役としてプレイしました。1年目から8.2得点5.8リバウンドを記録し、チームの優勝に貢献。入団からわずか2年強の間に、NCAA優勝、オリンピック金メダル、NBAファイナル制覇という3つのビッグタイトルを獲得しました。

しかし、マイカンの引退後、チームは衰退期に入ります。ラブレットはマイカンの後任として奮闘し、1955-56シーズンには21.5得点14.0リバウンドを記録、オールNBA2ndチームに選ばれましたが、チームの低迷を食い止めることはできませんでした。

セントルイス・ホークス時代（1957-1961）

レイカーズでの4シーズンを経て、シンシナティ・ロイヤルズ、セントルイス・ホークスへと移籍します。ボブ・ペティット擁するホークスは当時の強豪チームであり、ラブレットは1959-60シーズンに20.8得点10.6リバウンドを記録し、チームをファイナル進出に導きました。翌シーズンもファイナルに進出しましたが、ボストン・セルティックスに敗れました。

ボストン・セルティックス時代（1961-1964）

1961-62シーズン後、ラブレットは宿敵ボストン・セルティックスへ移籍。ビル・ラッセルやトム・ヘインソーンらのバックアップとしてプレイし、チームの層を厚くしました。セルティックスはファイナルでラブレットの古巣レイカーズを破り優勝。ラブレットにとって9年ぶりとなる2度目の優勝を経験しました。翌年もセルティックスは優勝し、ラブレットは3度目の優勝を置き土産に現役を引退しました。

NBA通算成績は、11シーズン704試合出場、11,947得点（平均17.0得点）、6,663リバウンド（平均9.5リバウンド）です。レイカーズとセルティックスの両チームで優勝を経験した選手は、ラブレットとレイジョン・ロンドのみです。

プレイスタイルと業績

ラブレットは長身と高い身体能力に加え、当時のセンターとしては珍しい広いシュートレンジを誇り、ワンハンドによるジャンプショットを得意としました。彼は、モダンなビッグマンの先駆けとも言える存在でした。

引退後は、ミシガン州で市議会議員を務める傍ら、大学のアシスタントコーチとしても活動しました。彼の功績は、バスケットボール殿堂、インディアナ州バスケットボール殿堂、カンザススポーツ殿堂に名を連ねることで称えられています。

主な業績

NCAA得点王：1952年
NCAAトーナメント優勝：1952年
NBAファイナル制覇：1954年, 1963年, 1964年
オールNBA2ndチーム：1956年
NBAオールスターゲーム出場：1956年, 1960年, 1961年
バスケットボール殿堂
インディアナ州バスケットボール殿堂
カンザススポーツ殿堂

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