クライナ・ディナール

クライナ・ディナールは、1992年から1994年までクライナ・セルビア人共和国で使用された通貨です。セルビア語キリル文字では「динар」と表記され、複数形は「динара」となります。

歴史

1991年6月25日、クロアチアがユーゴスラビアからの独立を宣言したことを受け、クロアチア領内に居住していたセルビア人はこれに反発し、ユーゴスラビア人民軍の支援を得て大規模な反乱（クロアチア紛争）を起こしました。その結果、クライナ・セルビア人共和国が樹立され、独自の通貨としてクライナ・ディナールが発行されることとなりました。

最初のディナールは、1992年7月にデノミネーションが行われたユーゴスラビア・ディナールと並行して導入されました。しかし、紛争の影響により、導入後間もなくユーゴスラビアと同様にハイパーインフレーションに陥ってしまいました。1993年10月1日に100万分の1、さらに3ヶ月後の1994年1月1日に10億分の1のデノミネーションを実施しましたが、ハイパーインフレーションは改善せず、同年2月15日に新ユーゴスラビアの通貨であるノヴィ・ディナールに置き換えられるまでその価値は下落し続けました。クライナ・ディナールは同日をもって廃止されました。

紙幣

1991年には、1万、2万、5万ディナールの額面の片面印刷の戦時債券証書が作成されましたが、実際には発行されませんでした。これらは紙幣に似たものでしたが、厳密には紙幣ではありませんでした。

1992年には、通常の紙幣として10、50、100、500、1000、5000ディナールが発行されました。同年12月頃には、スルプスカ・クライナ共和国国立銀行によって1万ディナールと5万ディナールの紙幣が発行されました。インフレーションが進行する中で、1993年には10万、100万、500万、1000万、2000万、5000万、1億、5億、10億、50億、100億ディナールの紙幣が次々と発行されました。これらの紙幣はスルプスカ・ディナールと共通のデザインで、額面と模様、そしてクライナ・セルビア人共和国の国章が印刷されていました。

1993年10月1日のデノミネーション後には、紙幣のデザインが刷新されました。表面にはクニンのクニン要塞が描かれ、裏面にはクライナ・セルビア人共和国の国章と額面、模様が印刷されました。ハイパーインフレーションの影響で、短期間のうちに5000、5万、10万、50万、500万、1億、5億、50億、100億、500億という高額の紙幣が発行されました。1994年1月1日のデノミネーションでは、デノミ前と全く同じデザインで1000、1万、50万、100万、1000万ディナールの額面で紙幣が発行されましたが、インフレーションは収まらず、わずか3週間足らずでこれらの紙幣は無価値となりました。

関連項目

クライナ・セルビア人共和国の経済
ハイパーインフレーション

脚注

参考文献

外部リンク

* Dinar Republike Srpske Krajine 1991-1994 (クロアチア語)

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