クラウン銀貨

クラウン銀貨についての詳細

クラウン銀貨（クラウンぎんか）は、イギリスの旧通貨制度における5シリング相当の銀貨です。特にそのサイズやデザインがコインコレクターに人気を博しています。直径38mm、重量は28.2759gで、銀の純度は92.5％のスターリングシルバーが使用されています。これにより、クラウン銀貨はその美しさだけでなく、物理的な価値も持っています。

歴史的背景

クラウン銀貨は1551年にエドワード6世の時代に初めて発行され、1697年の通貨改革を経て、1863年まで流通しました。それ以前にも「クラウン」という単位は存在していましたが、当初は金貨としての発行が中心でした。特に1526年、ヘンリー8世の改鋳によって登場した「クラウン・オブ・ダブルローズ」は、5シリングとされました。

発行当初のクラウン銀貨はハンマーコインとして鋳造され、1658年にはオリバー・クロムウェルの肖像が描かれた本格的な鋳造コインとして流通が開始されました。その後、様々な君主の肖像が刻まれ、1901年まで流通用として発行され続けました。ただし、その大きさと重量から日常使用には不便で、1902年にエドワード7世の戴冠記念として発行された後は、国家の行事を記念するための限定発行が中心となりました。

コイン収集家の間では、特に1847年に発行されたヴィクトリア女王即位10周年記念のクラウン銀貨が高い評価を受けています。この硬貨は「ゴチック・クラウン」として知られ、ブラックレターによる美しい銘字がデザインされています。

1920年、イギリスの銀貨はその品位が92.5％から50％へと引き下げられ、これ以降発行されたジョージ5世とジョージ6世のクラウン銀貨の多くはスターリングシルバーではなくなりました。1951年以降は白銅貨となり、額面表示も「FIVE SHILLINGS」と明記されました。

様々な種類のクラウン銀貨

クラウン銀貨はその歴史の中で多くの種類が存在します。ジョージ3世の肖像が描かれた1818〜1820年のクラウン銀貨や、ジョージ4世の肖像を描いた1821年〜1822年のもの、エドワード7世やジョージ5世の肖像が描かれたものなど、各時代ごとに特有のデザインが施されています。また、特筆すべきは1887年〜1892年に発行されたヴィクトリア女王のジュビリー・ヘッドが刻まれた硬貨や、1927年〜1936年のジョージ5世のクラウン銀貨など、それぞれが独自の美しさを持っています。

英連邦のクラウン銀貨

イギリス本国以外でも、英連邦や植民地地域ではクラウン銀貨が発行されていました。1935年にニュージーランドで発行されたワイタンギ条約の記念クレイジーや、1953年に南ローデシアで発行されたセシル・ローズ記念のクラウンは、いずれも高い希少価値を持っています。

デシマル後のクラウン銀貨

1971年に十進法制度に移行してからは、クラウンと同等の仕様で25ペンス硬貨が発行されています。これらは通常の白銅貨だけでなく、コレクター向けにプルーフ仕上げのスターリングシルバー製のものも存在します。

まとめ

コイン収集の世界では、「クラウン」という用語は大型銀貨の代名詞となっており、その歴史やデザイン、多様性はコレクターにとって魅力的な要素となっています。また、クラウン銀貨の図案は多くの場合、紋章やセントジョージが竜を退治している場面が採用されており、非常にアイコニックなコインとして認識されています。クラウンと並行して流通した半クラウン銀貨も、クラウン銀貨と同様に多くの愛好者に支持されています。

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