ゴチック・クラウン

ゴチック・クラウンの詳細について

ゴチック・クラウン（Gothic Crown）とは、1847年にイギリスで発行された5シリングに相当する銀貨を指し、ヴィクトリア女王の即位10周年を祝うために作られました。このコインの特異点は、銘字に使用されたブラックレター（gothic）に由来します。

コインの概要

ゴチック・クラウンは直径38mm、重量28.2759gで、銀純度は92.5%のスターリングシルバーで製造されています。この銀貨はプルーフ状態で8000枚が発行され、世界の大型銀貨の中でも特に美しいとされています。このため、コイン収集家の間で人気が高く、最も美しい銀貨との評価がなされています。

デザインの詳細

このコインの表面には、若きヴィクトリア女王が王冠をかぶった胸像が描かれています。銘文は「Victoria dei gratia britanniarum regina fidei defensor」となっており、これは「神の恩寵による英国の女王であり、信仰の守護者」の意味を持ちます。一部の表記は略され、より短い形で記されています。

裏面は、イングランドの3頭の獅子、スコットランドの獅子、アイルランドのハープを十字型に組み合わせた盾で、周囲にはこれらの地域を象徴するバラ、アザミ、クローバーが描かれています。さらに、周囲には「tueatur unita deus anno dom mdcccxlvii」の銘があり、「神よ連合王国を守り給え、西暦1847年」の意を表しています。なお、このコインのデザインは、当時の王立造幣局の彫刻部長ウィリアム・ワイオンによって手がけられました。このコインはイギリスの近代コインでは初めて銘字にブラックレターを採用した例でもあり、1851年から発行されたゴチック・フローリンと同様のスタイルを持っています。

ゴチック・クラウンの評価

ゴチック・クラウンは記念品としての側面も有していますが、実際には流通用コインとして発行されました。そのため、実際に流通した形跡のあるコインも存在しますが、比較的良好な状態のものが多く、大型銀貨の代表として収集家にとって高値で取引されることは珍しくありません。過去数年の間に、相場は著しく上昇し、2012年以降はイギリスのコイン市場で特に価値が高まっています。現在、状態が良好なものは10,000ドルを超えることもあり、完璧な状態のものでは20,000ドル以上の価値が付けられることもあり得ます。

バラエティの存在

ゴチック・クラウンには、エッジに銘字が刻まれているものや、銘字がないもの、さらには異なる銘字のバラエティも存在します。また、1853年には追加発行され、1846年には表面デザインの異なる試鋳貨も製造されています。

補足

この銀貨の製造に使用された刻印は大英博物館に収蔵されており、一般向けに展示されています。コインの歴史を学ぶためにも、ぜひ訪れてみたい場所です。

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