クラースヌイ・カフカース (重巡洋艦)

クラースヌイ・カフカース：ソ連の重巡洋艦

クラースヌイ・カフカースは、ロシア帝国海軍のスヴェトラーナ級軽巡洋艦として、第一次世界大戦前に起工された艦艇です。当初は「アドミラール・ラーザレフ」という艦名でしたが、建造途中で設計が大幅に変更され、最終的には強力な火力を誇る大型巡洋艦として完成しました。

概要

当初は黒海での哨戒任務を目的とした軽巡洋艦として設計されましたが、建造中に18cm砲4門を搭載する大型巡洋艦へと改設計されました。この変更に伴い、船体構造や武装配置にも大きな改修が加えられました。

艦形

本級の船体は、高い乾舷を持つ長船首楼型で、凌波性に優れていました。艦首甲板には18cm速射砲が単装砲塔に収められ、背負い式に2基配置されています。艦橋構造は多層式で、頂上部には測距儀を備えた三脚檣が立っています。2本の煙突の後方には艦載艇置き場があり、ボートダビットで運用されました。舷側には高角砲が配置され、後にイタリア製の10cm高角砲に換装されました。船体中央部には魚雷発射管も装備され、後部甲板には18cm単装砲塔が2基、機雷投下軌条も備えられていました。

武装

主砲

当初の8インチ(20.3cm)単装砲から、新型の18cm速射砲に変更されました。この砲は、重量97.5kgの砲弾を最大射程37,130mまで届かせることができ、最大仰角60度、俯角5度で装填可能な自由角装填方式を採用しています。発射速度は毎分4発でした。

高角砲、その他の備砲、水雷兵装

就役時には6.3cm単装高射砲が搭載されましたが、後にイタリア製の10cm連装高角砲に換装されました。この10cm高角砲は、15.8kgの砲弾を最大射程18,546mまで届かせることができ、発射速度は毎分12発でした。さらに、7.62cm高角砲も追加され、近接戦闘用に4.5cm機関砲と12.7mm機銃も搭載されました。水雷兵装としては、53.3cm三連装魚雷発射管を4基備え、機雷120発を搭載可能でした。

艦歴

竣工までの経緯と第二次世界大戦まで

1913年に「アドミラール・ラーザレフ」として起工しましたが、十月革命の影響で建造が一時中断しました。その後、ソ連海軍によって「クラースヌイ・カフカース」として再建され、1932年に竣工しました。竣工後には防護巡洋艦との衝突事故により艦首を損傷し、修理の際に艦首形状が延長されました。1933年にはトルコ、ギリシャ、イタリアへの表敬訪問を行いました。1940年には航空兵装が撤去され、対空火器が更新されました。

関連項目

ソ連・ロシア海軍艦艇一覧
軽巡洋艦
重巡洋艦

参考図書

「Conway All The World's Fightingships 1906–1921」（Conway）
* 「世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）

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