クリストーバル・コロン (装甲巡洋艦)

クリストーバル・コロン (Cristóbal Colón)

クリストーバル・コロンは、スペイン海軍初の装甲巡洋艦として1895年に建造が始まり、1896年9月に進水しました。艦名はアメリカ大陸への最初の到達者、クリストファー・コロンブスに由来しています。元々はイタリアで設計・建造され、特に同型艦の存在はありませんが、イタリアの「ジュゼッペ･ガリバルディ級」の設計に基づいています。

概要

艦の設計はイタリアの海軍士官エドアルド・マスデアによって行われ、1897年にスペイン海軍に引き渡される際、主砲は未搭載の状態でした。元設計にあった25.4cm砲は拒否され、代わりに新型の24cm砲が搭載されることとなりました。しかし、この砲は米西戦争の前になっても改良がなされず、結局就役時には何も装備されていない状態でした。サンチャゴ・デ・キューバ海戦でアメリカの攻撃に直面した際、クリストーバル・コロンは自沈しました。

艦形

本艦の基本設計は、当時のイタリア海軍の前弩級戦艦「エマニュエレ・フィリベルト級」を小型化し、装甲を軽減しつつ速力を増すことを目指していました。船体は平甲板型船体で、艦首部分には水中での衝角を持ち、前部甲板には24cm主砲が露出した形で配置されています。艦橋には司令塔が組み込まれ、後方には二段の見張り所があります。煙突は二本立てられ、その周囲には艦載艇置き場が広がっています。

武装

クリストーバル・コロンの主砲は、国産の「1886年型 24cm（42口径）砲」を搭載する予定でした。この砲は、重量150kgの弾丸を最大有効射程14,000mまで撃てる性能を持ち、貫通能力も優れています。砲塔の設計も新たにされましたが、実際にはそのまま未装備で就役しました。

副砲は「アームストロング 1892年型 15.2cm（40口径）速射砲」を搭載し、優れた射程を持つ砲を舷側に配置しました。また、対水雷艇用の武器として、11cmと5.7cmの各種速射砲が配置されており、敵艦に対抗するための水上魚雷発射管も装備されています。

防御

防御能力は、排水量に対して優れたもので、舷側装甲は80mmから122mmに達する厚さがあります。主砲のバーベット部には122mmの装甲が施されており、基本的には頑丈な防御を持っていました。

クリストーバル・コロンは、スペイン海軍の艦艇の中でも特異な存在を誇り、その設計と武装は当時の軍艦の中で注目を集めましたが、最終的には実戦での運用を果たさぬまま沈没しました。

もう一度検索