クルップK5

クルップ K5（Krupp K5）列車砲の詳細

クルップ K5、正式には28cm列車砲K5 (28 cm Kanone 5 (E)) は、1930年代のドイツが開発した重砲であり、第二次世界大戦で重要な役割を果たしました。この列車砲はその名の通り、鉄道を利用して移動することができるため、戦場において大きな戦略的利点を持っていました。

製造と設計

クルップ社は、第二次世界大戦中に多くの列車砲を製造した企業であり、K5もその一つです。1934年から1945年の間に25両が製造され、設計はドイツの標準的な鉄道網を考慮して行われました。特に注目すべきは、その長さ21.5メートルの砲身であり、6軸式台車二両に搭載される形をとっています。

この設計により、軍用・民間問わず鉄道網を利用できる特性を持ち、場合によってはパーツを分離し、通行可能な形で運用することが可能でした。ただし、砲自体を旋回させることはできず、射角を変更するためには特別な転車台を使用する必要がありました。

最大射程は約6万2400メートルとも言われ、ロケット推進弾を用いることでさらに遠く、8万6000メートルに達することも可能でした。このような優れた性能は、連合軍にとって大きな脅威でありました。

型式

K5には様々な型式が存在し、以下のようなモデルがありました：

• - 15cm K5M/15cm K5MKu：プロトタイプでライフリング付きおよびなし。
• - 28cm K5 T10、T7、Vz：それぞれ異なるライフリングを持ち、特にVz型はロケット推進弾の使用が可能でした。
• - 31cm K5 gl：試作の滑腔砲です。

このように、様々な用途への応じた設計が施されています。

歴史的意義

「Anzio Annie」と「Anzio Express」と呼ばれる2つのK5砲は、特に有名です。これらは第二次世界大戦中のアンツィオ上陸作戦において、連合軍側に対して驚異的な火力を提供しました。連合軍は、この2門の列車砲の存在に怯え、昼間はローマ近郊のトンネルに隠れるなど、戦術を練らざるを得ませんでした。

1944年6月、連合軍がローマを占領した後、これらの列車砲は鹵獲され、米国へ運ばれました。特に、レオポルトと名付けられた1両はメリーランド州のアバディーン戦車博物館で展示されています。

技術仕様

• - 口径：283 mm
• - 砲身長：21.539 m
• - 全長：30 m（走行形態）、32 m（砲撃形態）
• - 総重量：218 t
• - 発射速度：1発/3～5分
• - 射程：最大61 km
• - 走行方式：3-3軸複式ボギー台車×2

このように、クルップ K5はその圧倒的な性能によって、戦争の舞台において重要な役割を果たしました。

文化的影響

クルップ K5は、多くの映画やゲーム、漫画に登場し、特に1969年のイタリア映画『激戦地』ではノルマンディー上陸作戦を描いたストーリーに登場しました。また、人気のアニメ作品や小説にも影響を及ぼしています。

このように、クルップ K5は単なる軍事装置だけではなく、その文化的影響も無視できない存在となっています。

もう一度検索