クルト朝

クルト朝に関する詳細

クルト朝（Kurt dynasty）は、13世紀から14世紀にかけてイラン東部のホラーサーン地方を支配したタジク人のスンナ派イスラム教徒の王朝です。首都はホラーサーンの都市ヘラートであり、時にカルト朝（Kart dynasty）と呼ばれることもありますが、どちらの名称が正確かは定説がありません。また、クルトの意味も明らかにされていません。

この王朝の始まりは、ゴール朝の貴族であるシャンサバーニー家に起源を持ち、特にその初代君主タージュッディーン・オスマーン・マルガーニーは、ゴール朝のスルターン・ギヤースッディーン・ムハンマドの封臣として知られています。13世紀半ば、クルト朝はモンゴル帝国に臣従を誓い、その後、モンゴルの王族フレグが建国したイルハン国の一部としてホラーサーン地方を支配しました。

王朝の歴史的背景

クルト朝の形成は、元々のゴール朝との関係に深く根ざしています。タージュッディーンの後、彼の子ルクンッディーン・アブー・バクルが跡を継ぎ、モンゴル帝国が侵入した際、早々とチンギス・カンに臣従を誓いました。彼の子、シャムスッディーン・ムハンマドが1263年から1264年にかけてスィースターンを征服し、モンゴル帝国の重要な臣下として活動し始めました。

1278年、シャムスッディーンは毒殺され、その後はシャムスッディーン2世が新たに君主に立てられました。彼の治世下では、ヘラートは再び繁栄を孕みましたが、権力闘争と反乱が続く混乱した時代でもありました。

クルト朝の発展と衰退

1290年代から1300年代にかけて、クルト朝は徐々にイルハン国からの独立を図り、サルバダール政権やティムール朝との緊張も高まりました。特に、ギヤースッディーン・ピール・アリーの時代に、クルト朝はティムール朝と対立し、その結果、1381年にはティムールによる攻撃を受けて王朝が滅亡することとなります。

ティムールの到来により、クルト朝は自身の領土を守ることができず、最終的にクルト家の王族は次々と処刑されていきました。これによって、クルト朝の時代は閉じられ、ホラーサーン地方におけるその影響力はほぼ消失しました。

ヘラートと文化的業績の復興

クルト朝が支配していたヘラートは、特に彼らの治世のもとで文化的な復興が見られました。都市は、モンゴル侵攻によって荒廃しましたが、クルト朝の支配により再建され、様々な文芸、宗教が重んじられるようになりました。シャムスッディーンの時代には、多くの公共施設やインフラが整備され、特に商業や文化の中心地としてのヘラートの地位が強固になっていきました。

カルト朝の時代における文化的業績は、スンナ派の教えや文芸の発展に貢献し、彼らの治世が文化の灯を点し続けたことは今も多くの研究者によって評価されています。クルト朝の影響は、ホラーサーン地域の歴史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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