クレスト・ライン

クレスト・ライン (Crest Line)

この『クレスト・ライン』は、日本のカントリー・ウェスタン音楽シーンを長きにわたり牽引してきた瀬谷福太郎氏のキャリアにおける重要な節目を記念して制作されたアルバムです。氏が音楽活動を開始して30周年を迎えた1982年、日本ビクター傘下のRCAレーベルより世に送り出されました。

アルバムの最大の特徴は、瀬谷氏が率いるバンド「瀬谷福太郎とカントリー・オールスターズ」に加えて、氏と深い親交を持つ多彩なゲストアーティストたちが多数参加している点です。これらのゲストたちは、それぞれの個性的な才能を惜しみなく披露し、アルバム全体に華やかな彩りを添えています。ヴォーカリスト、ギタリスト、あるいは異なる楽器の奏者として、様々な形で瀬谷氏との共演が実現しており、当時の日本のカントリー・ウェスタン音楽界における交流や繋がりの深さを感じさせる作品となっています。

収録曲は、Side 1、Side 2合わせて全12曲が収録されています。バラエティ豊かな選曲となっており、瀬谷氏の幅広い音楽性を示しています。

Side 1

Country Gentlemen
Early American
Any Time
Bartender's Blues
Guitar Boogie
Today

Side 2

Wildwood Flower
Riders in the Sky
Water Baby Blues
Cannonball Yodel
Goodbye Little Darlin'
Drifter's Polka

この作品のサウンドを支えるのは、瀬谷福太郎とカントリー・オールスターズの盤石なメンバーたちです。リーダーである瀬谷福太郎氏自身は、アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターを巧みに弾き分けています。バンドメンバーとしては、小寺美昭氏と辻田巌氏がエレクトリック・ベースを担当し、リズムセクションを形成。田中鐘太郎氏がドラムス、久富ひろむ氏がピアノとオルガンでサウンドに厚みを与えています。さらに、宮城久彌氏と谷岡寿夫氏のフィドル、尾崎孝氏のスティール・ギター、吉野五郎氏の4弦バンジョーといったカントリー・ウェスタンには欠かせない楽器奏者が揃っています。特に谷岡氏はSide 1の6曲でフィドル、Side 1の「Any Time」「Bartender's Blues」「Today」の3曲でハーモニカも担当しています。また、吉岡孝時氏、篠原国利氏によるトランペット、橋爪智明氏によるトロンボーンがSide 2の「Wildwood Flower」と「Drifter's Polka」の2曲で参加し、サウンドにゴージャスな響きを加えています。

そして、このアルバムを特別なものにしているのが、豪華なゲスト陣の存在です。小松久氏がSide 1の「Early American」でエレクトリック・ギターを演奏。ジミー時田氏がSide 1の「Any Time」で、寺本圭一氏がSide 1の「Bartender's Blues」で、伊東きよ子氏がSide 1の「Today」でそれぞれヴォーカルを披露しています。斉藤任弘氏はSide 2の「Riders in the Sky」でヴォーカル、Side 2の「Goodbye Little Darlin'」でアコースティック・ギターを担当。三浦裕史氏はSide 2の「Water Baby Blues」でエレクトリック・ギター、大野義夫氏はSide 2の「Cannonball Yodel」でヴォーカル、小坂一也氏もSide 2の「Goodbye Little Darlin'」でヴォーカルを務めています。さらに、成毛滋氏がSide 2の「Drifter's Polka」でエレクトリック・ギターを演奏しており、ゲスト参加者の顔ぶれからも、当時の日本の音楽シーンにおける瀬谷氏の影響力と人脈の広さが伺えます。

『クレスト・ライン』は、瀬谷福太郎氏の長年の活動を記念する作品であると同時に、当時の日本のカントリー・ウェスタン音楽界を代表するミュージシャンたちの才能が集結した貴重な記録とも言えるでしょう。氏のキャリアを振り返る上で欠かせない、記念碑的なアルバムです。

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