成毛滋

成毛滋（なるも しげる）

成毛滋（1947年1月29日 - 2007年3月29日）は、日本のロックシーンにおいて重要な役割を果たしたギタリスト、キーボーディストです。東京都出身で、1960年代後半から1970年代にかけて、国内のロックシーンでその名を馳せました。

生い立ちと音楽への目覚め

成毛は、ブリヂストン創業者の石橋正二郎を祖父に持ち、父親は同社の副社長という裕福な家庭に生まれました。妹は漫画家の成毛厚子。また、鳩山威一郎の甥にあたり、鳩山由紀夫・邦夫兄弟は従兄弟という名門一族でもあります。

幼少期から進駐軍との関わりが深い環境で育ち、アメリカの音楽に触れる機会が多く、自然と音楽への興味を深めていきました。慶應義塾幼稚舎から慶應義塾普通部へと進み、中学校時代には、後のザ・フィンガーズのメンバーとなる朝吹誠、齋藤茂一、高橋信之らと8ミリ[[映画]]を制作するなど、映像制作にも関心を持っていました。

慶應義塾高等学校に進学後、「The cool boys」というロカビリーバンドにギタリストとして加入。当初はカントリーを演奏していましたが、バンドの多才さに魅了され、ロカビリーにも挑戦するようになります。このバンドには、後にドラマーとして活躍する高橋幸宏の兄である高橋信之も在籍していました。

信之の繋がりから、最新のアメリカのヒットレコードに触れる機会を得て、演奏技術を磨いていきました。また、映画でシャドウズに出会ったことがきっかけで、アコースティックギターからエレクトリックギターに転向しています。

ザ・フィンガーズ時代

「The cool boys」は、「The savage」を経て、「ブルー・サウンズ」とバンド名を変更。その後、ベンチャーズの奏法に感銘を受け、「フィンガー・ビブラーツ」というバンド名を考案しますが、最終的に「ザ・フィンガーズ」として活動することになりました。

1964年の東京オリンピックでは、選手村で演奏する機会を得て、オリンピック委員会から参加メダルを授与されました。1965年には、銀座ヤマハホールでザ・スパイダースと共演するなど、高校生バンドとして異例の活躍を見せます。

慶應義塾大学進学後もバンド活動を継続しますが、メンバーの留学や事故などにより、活動は一時停滞。しかし、様々なバンドから助っ人を迎え、活動を続けました。その中には、高橋幸宏も含まれていました。その後、キーボードとして蓮見不二男（クリストファー・リン）が加入し、バンドは再び本格的な活動を再開します。

ザ・フィンガーズは、フジテレビの『勝ち抜きエレキ合戦』でグランド・チャンピオンに輝くなど、その実力を全国に示しました。しかし、大学卒業を控えたメンバーの進路の違いから、1969年に解散。

解散後から晩年まで

ザ・フィンガーズ解散後、成毛は「ヴァニラ・クリーム」名義でライブ活動を行い、ディープ・パープルやジミ・ヘンドリックスなどのナンバーを演奏しました。この時期には、ギターとキーボードを同時に演奏する独自の奏法を編み出しています。

帰国後、「10円コンサート」を主催。柳ジョージや陳信輝、角田ヒロ、柳田ヒロなど、実力派ミュージシャンが集まり、成功を収めました。また、スタジオミュージシャン、CM音楽の仕事も多数手がけ、多い時には年間1000曲以上の作曲、編曲をこなしました。

1970年には、柳ジョージ、角田ヒロとともに「ジプシー・アイズ」を結成。その後、「ストロベリー・パス」を経て、「フライド・エッグ」を結成し、1971年の箱根アフロディーテに出演しました。

晩年は、フィンガーズ時代のドラムス朝吹誠、ゴールデン・カップスのマモル・マヌーなどとライブハウスで演奏活動を行う傍ら、ギター教室の講師を務めました。また、TIC（Tokyo Instrumental Circle）の同窓会兼演奏会を主催するなど、音楽を通じた交流を大切にしました。

2007年3月29日、大腸癌のため死去。享年60歳。

音楽へのこだわり

成毛は、国産の安価なギターを改造して使用することにこだわりを持っていました。グヤトーンのギターをフェンダー・ストラトキャスター風に改造した「ウソラトキャスター」や、「イッケンバッカー」、「ニテレキャスター」など、ユニークな名前のギターを愛用しました。

富士弦楽器（現在のフジゲン）に、自身のこだわりを反映したレスポールタイプを注文し、ステージやレコーディングで使用しました。グレコからは「成毛滋モデル」も発売されています。

成毛滋は、日本のロックシーンに多大な影響を与えたギタリスト、キーボーディストとして、その音楽性と革新的な奏法は、多くのミュージシャンに影響を与え続けています。

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