クレマー・K8 スパイダー

クレマー・K8スパイダー：ポルシェ962Cをベースにした伝説のレーシングカー

クレマー・K8スパイダーは、クレマー・レーシングによって開発された、オープンコックピットのプロトタイプレーシングカーです。その前身であるK7スパイダーと共に、IMSA GT選手権、インターセリエ、インターナショナル・スポーツカー・レーシングシリーズ(ISRS)など、複数のスポーツカーシリーズで活躍しました。ポルシェ962Cのコンポーネントを多く採用しており、デイトナ24時間レースでの優勝など、輝かしい戦績を残しています。

開発：K7スパイダーからK8スパイダーへ

1992年、クレマー・レーシングは、高額な費用負担を理由にスポーツカー世界選手権への参戦を見送りました。代わりに、より小規模なインターセリエ・チャンピオンシップに参戦することになります。しかし、当時のインターセリエでは、オープンコックピットのフォーミュラカーやCARTマシンをベースとした車両が多く、ダウンフォースを高めるためのボディワークが装着されていました。クローズドコックピットのプロトタイプであるポルシェ962CK6は、重量が重いために不利な立場にありました。

そこでクレマー・レーシングは、962CK6をベースに、軽量化と速度向上を目指してオープンコックピット仕様の車両、クレマー・K7スパイダーを開発しました。ルーフとフロントガラスを取り外し、ドアを新しいボディワークに置き換えることで、ドライバーの位置を中央に移動させ、空力性能を向上させました。エンジンや主要メカニズムは962CK6を踏襲しつつ、軽量化されたボディによって高い戦闘力を実現しました。少なくとも2台のK7スパイダーがインターセリエ用に製造されました。

インターセリエでのK7スパイダーの成功を受け、クレマー・レーシングはIMSA GT選手権とル・マン24時間レース参戦を視野に、K7スパイダーを改良したK8スパイダーを開発しました。ベース車両は962CK6ですが、レギュレーションへの適合のため、ボディワークにいくつかの変更が加えられました。2人乗りレイアウトは維持しつつ、より低く、空力性能に優れたボディワークが採用され、横転時のドライバー保護のためにロールバーも追加されました。また、エンジンは排気量3.0リッターのタイプ-935フラット6エンジンに変更されました。

合計4台のK8スパイダーが製作されました。

レース戦績：数々の勝利と表彰台

1992年、K7スパイダーはインターセリエ・シーズンにデビュー。ニュルブルクリンクでの初レースで好成績を収め、ブランズハッチでは1ヒートで優勝、総合2位を獲得しました。ゾルダーサーキットとオートドロム・モストでも勝利を収め、クレマー・レーシングはチームチャンピオンシップ、マヌエル・ロイターはドライバーズチャンピオンシップを獲得しました。

1993年には、K7スパイダーがインターセリエで活躍し、チームはシリーズをリード。ハラマでは1位と2位を獲得するなど、高い競争力を示しました。最終的に、ジョバンニ・ラヴァッジがドライバーズチャンピオンシップを獲得しました。

1994年、クレマー・レーシングはル・マン24時間レースにK8スパイダーで参戦。LMP1/C90クラスで唯一のオープンコックピットカーとして、予選2位グリッドを獲得するなど高いポテンシャルを見せつけましたが、結果は6位でした。

1995年のデイトナ24時間レースでは、K8スパイダーが優勝。セブリング12時間レースではメカニカルトラブルにより30位に終わりましたが、ル・マン24時間レースでは1台が6位に入賞しました。

その後も、インターセリエやISRSに参戦し、モンツァ1000kmで優勝するなど、高い戦闘力を維持しました。1998年のル・マン24時間レースでは総合12位、LMP1クラス2位を獲得。1999年を最後にK8スパイダーはシリーズから撤退しました。

まとめ

クレマー・K8スパイダーは、ポルシェ962Cの技術をベースに、クレマー・レーシングの技術力によって生み出された傑作レーシングカーです。数々のレースで活躍し、多くの勝利と表彰台を獲得しました。その高い戦闘力と、オープンコックピットという個性的なデザインは、多くのファンを魅了し続けています。

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