クレーター湖

クレーター湖

クレーター湖は、アメリカ合衆国オレゴン州南中部に位置するカルデラ湖であり、クレーターレイク国立公園の象徴として知られています。その最大の特徴は、深く青く透き通った水です。この湖は、約7700年前（±150年）にマザマ山の崩壊によって形成されたカルデラの一部を占めています。

概要

クレーター湖は、流入河川や流出河川を持たない珍しい湖です。降雨や降雪によって水が供給され、蒸発によって水が失われるというバランスが保たれています。湖の水は、約250年ごとに完全に新しい水に入れ替わると言われています。水深は594メートルに達し、アメリカ合衆国で最も深い湖であり、世界でも最大水深で9位、平均水深では3位にランクインします。

クレーター湖のもう一つの特徴は、「湖の老人」と呼ばれる樹木の切り株が1世紀以上にわたって水面に浮かんでいることです。水温が低いため、この切り株は腐敗することなく、長期間にわたって水面を漂い続けています。

湖には2つの小さな島があります。1つは、湖の西岸近くに位置するウィザード島で、面積は約128ヘクタールの噴石丘です。もう1つは、湖の南岸にあるファントムシップと呼ばれる自然に形成された岩柱です。

クレーター湖には、元々土着の魚はいませんでしたが、1888年から1941年にかけて様々な魚が放流されました。その結果、現在では数種類の魚が繁殖し、安定した個体群を形成しています。

2002年以降、クレーター湖はオレゴン州の自動車ナンバープレートのデザインにも採用されており、2005年にはアメリカ合衆国造幣局が発行したオレゴン州の25セント硬貨の裏面にその美しい姿が描かれました。

場所

クレーター湖はクラマス郡に位置し、郡庁所在地のクラマスフォールズからは北西に約97キロメートル、メドフォードからは北東に約130キロメートルの距離にあります。

1853年6月、探検家のジョン・ウェズリー・ヒルマンが、アメリカ先住民以外では初めてこの湖を発見し、「ディープ・ブルー・レイク」と名付けました。その後、ブルー・レイク、レイク・マジェスティーと改名され、最終的にクレーター湖という名前で呼ばれるようになりました。

大きさと水深

クレーター湖の大きさは、約8.0キロメートル×9.7キロメートルで、湖岸の標高は2100メートルから2400メートルの範囲にあります。平均水深は350メートルで、最大水深は594メートルに達します。最大水深に基づくと、アメリカ合衆国で最も深い湖であり、北アメリカ大陸ではカナダのグレートスレーブ湖に次いで2番目に深く、世界では9番目に深い湖です。

平均水深で比較すると、クレーター湖は西半球で最も深く、世界で3番目に深い湖となります。クレーター湖研究所の所長であるオーウェン・ホフマン氏によると、「湖盆全体が海面より上にある湖の中では、平均水深で比較した場合、クレーター湖が最も深い」とのことです。バイカル湖やタンガニーカ[[湖]]はクレーター湖よりも深いですが、これらの湖は湖盆の一部が海面下に広がっています。

地形と湖の形成

クレーター湖は、カスケード山脈の火山弧の一部であるマザマ山の噴火によって形成されました。マザマ山は、少なくとも40万年の間、安山岩、デイサイト、リョーダサイトで構成されていました。

約6000年から8000年前の噴火によってカルデラが形成され、マザマ山は陥没しました。この噴火で約50立方キロメートルのリョーダサイトが噴出しました。それ以降、マザマ山の噴火は全てカルデラ内で発生しています。

噴火によって、中央プラットフォーム、リョーダサイトの堆積物、ウィザード島、メリアムコーンなどの小さな火山地形が形成されました。また、堆積物や地すべりの残骸もカルデラの底を覆っています。

その後、カルデラは冷却され、降雨と降雪によって湖が形成されました。カルデラの周縁からの地すべりによって、湖底には扇状堆積地やタービダイトの堆積物が形成されました。この時期には、活動的な噴気孔や熱水泉が頻繁に見られました。やがてカルデラの周縁の斜面は安定し、放射状に山から流れ出る渓流が復活し、森林が不毛の土地を覆いました。湖を現在の深さ（594メートル）まで満たすには、約720年かかったと推定されています。これらの現象の多くは、現在よりも降雨量が少ない気候で発生しました。

現在も、湖底に沿っていくつかの熱水活動が見られ、将来的にマザマ山が再び噴火する可能性を示唆しています。

気候

クレーター湖は亜寒帯気候に属し、標高が高いため、オレゴン州全体と同様に小笠原気団の影響を強く受け、珍しい乾夏型の気候（ケッペンの気候区分：Dsc）を示します。夏は小笠原気団の影響で乾燥した穏やかな気候ですが、冬はアリューシャン低気圧の影響で寒冷となり、平均降雪量は12.83メートル、最大降雪量は22.48メートルに達することがあります。降雪は7月中旬まで残雪となり、周辺の山々には氷河が形成されます。

1949年から1950年の冬には、22.48メートルの降雪がありましたが、降雪量が少なかった1981年から1982年の冬には、わずか4.88メートルしか降雪がありませんでした。1日で最も多くの降雪があったのは1971年2月28日で、94.0センチメートルの降雪がありました。同年の6月と9月には、1回の暴風で51センチメートルの降雪も観測されています。湖では、夏でも霜が降りることがあります。平均的な年で氷点下の気温が観測されるのは8月19日から翌年の7月7日までで、0.25センチメートル以上の降雪が観測されるのは10月1日から翌年の6月15日までです。

水質

クレーター湖は、流入河川や流出河川がないため、汚染物質が少なく、世界でも最も水質の純度が高い湖の一つです。セッキ円盤で測定した透明度は、通常30メートル強から20メートル程度ですが、1997年には53.3メートルという記録的な透明度を記録しました。

クレーター湖は、比較的高濃度の溶解塩、総アルカリ度、伝導度を持っています。平均pH値は通常7から8の間です。

クレーター湖信仰

クラマス族は、祖先がマザマ山の陥没とクレーター湖の形成を目撃したと伝えられており、長年にわたって湖を聖地として崇めてきました。クラマス族の伝説では、天空の神であるスケルと地底の神であるラオとの間の戦いが語られており、マザマ山はこの戦いで破壊され、クラマス語で「giiwas」と呼ばれる湖が形成されたとされています。

クラマス族は、カルデラの壁を登るなどの危険な行為を伴うビジョン・クエストをクレーター湖で行っていました。この儀式に成功した人は、より多くの霊的な力を持っていると信じられていました。クラマス族は、今日でもクレーター湖を霊的な場所として尊敬しています。

参考文献

Fire Mountains of the West: The Cascade and Mono Lake Volcanoes, Stephen L. Harris, (Mountain Press Publishing Company, Missoula; 1988) ISBN 0-87842-220-X
Geology of National Parks: Fifth Edition, Ann G. Harris, Esther Tuttle, Sherwood D. Tuttle, (Iowa, Kendall/Hunt Publishing; 1997) ISBN 0-7872-5353-7
Bacon, Charles R.; Lanphere, Marvin A. (2006). “Eruptive history and geochronology of Mount Mazama and the Crater Lake region, Oregon”. Geological Society of America Bulletin 118 (11–12): 1331–1359. Bibcode: 2006GSAB..118.1331B. doi:10.1130/B25906.1.
Oregon, Moon Handbooks, Judy Jewell, W. C. McRae, (Avalon Travel, Berkeley; 2012, 9th edition) ISBN 978-1-59880-885-8

関連項目

クレーターレイク国立公園
火山湖

外部リンク

NPS:クレーター湖国立公園
USGS: Crater Lake Data Clearinghouse
* Oregon Institute of Technology: Crater Lake Digital Research Collection

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