クロアチア王国 (1102年-1526年)

クロアチア王国（1102年-1526年）

クロアチア王国は、1102年から1526年まで存在した、ハンガリー王国との同君連合の王国です。トルピミロヴィチ朝の断絶後、ハンガリー国王カールマーンがクロアチア王位を兼ねる形で成立しました。

歴史的背景

建国

1089年にズヴォニミル王が死去すると、トルピミロヴィチ朝の血筋が途絶え、クロアチアは継承危機に陥ります。ハンガリー国王ラースロー1世が介入し、クロアチア王位を主張しましたが、クロアチア貴族の抵抗に遭い、支配を確立できませんでした。その後、カールマーン王が軍事力と交渉によってクロアチア貴族の支持を獲得し、1102年にクロアチア王として戴冠しました。この戴冠により、クロアチアはハンガリーとの同君連合を形成することになりました。

ハンガリーとの関係

クロアチアとハンガリーの関係は、同君連合という形で維持されました。クロアチアは独自の議会（サボル）や総督（バン）を持ち、貴族は土地と称号を保持しました。しかし、ハンガリーの影響力は強く、クロアチアはハンガリーの属国として扱われることもありました。両国の関係は時代によって変化し、クロアチアの自治の程度も変動しました。

ヴェネツィアとの闘争

クロアチア王国は、ダルマチア沿岸の都市の支配権をめぐってヴェネツィア共和国と激しく争いました。ヴェネツィアは沿岸都市を次々と占領し、クロアチアの領土を蚕食していきました。1358年のザダル条約によって一時的にダルマチア全域を奪還しましたが、15世紀には再びヴェネツィアの支配下に置かれる都市が現れました。

オスマン帝国の侵攻

15世紀以降、オスマン帝国がバルカン半島に侵攻し、クロアチア王国は深刻な脅威にさらされました。オスマン帝国はクロアチアの領土を次々と占領し、国は弱体化していきました。1493年のクルバヴァの戦いでの大敗は、クロアチアの防衛力を著しく低下させました。

王朝交代と終焉

1526年のモハーチの戦いでハンガリー国王ラヨシュ2世が戦死すると、ヤギェウォ朝が断絶し、クロアチアとハンガリーの王位はハプスブルク家のフェルディナント1世に移りました。これにより、クロアチア王国はハプスブルク帝国の版図に組み込まれ、事実上終焉を迎えました。

地理・行政組織

クロアチア王国は、ダルマチア沿岸部と内陸部の一部を領有していました。王国はバンによって統治され、郡（županije）に分割されていました。各郡は伯爵（župan）が統治しました。

文化

クロアチア王国では、クロアチア独自の文化が発展しました。貴族は独自の領地を支配し、地方の慣習法を維持しました。また、テンプル騎士団や聖ヨハネ騎士団などの宗教騎士団もクロアチアに大きな影響力を持っていました。

遺産

クロアチア王国は、クロアチアの歴史において重要な役割を果たしました。王国は独自の国家制度を維持し、クロアチアの文化とアイデンティティの形成に貢献しました。また、オスマン帝国の侵攻からヨーロッパを守る防壁としての役割も果たしました。

名称
Regnum Croatiae (et Dalmatiae)（ラテン語）
Kraljevina Hrvatska (i Dalmacija)（クロアチア語）

備考
複数形の「王国」（ラテン語: regna）が使われるようになった1359年まで、王国の外交名はクロアチア・ダルマチア王国（ラテン語: Regnum Croatiae et Dalmatiae）であった。
クロアチア語での最も一般的な名称はHrvatska zemlja（「クロアチア人の国」または「クロアチア人の土地」）であった。

もう一度検索