クロキ

クロキ（学名：Symplocos kuroki）は、ハイノキ科ハイノキ属に分類される常緑性の小高木です。日本固有の植物であり、主に南関東地方以西の比較的温暖な地域、特に海岸近くに分布しています。

特徴

樹高: 5～6メートル程度に成長します。
樹皮: 和名に「黒木」とありますが、実際には樹皮は黒褐色というよりも、白っぽいものが多く見られます。
花: 開花時期は3月から4月頃で、白い花を咲かせます。
果実: 秋になると黒色の果実をつけ、その実は鳥たちの食料となります。

分布と生育環境

クロキは、日本の固有種であり、本州の温暖な地域に分布しています。特に、海岸に近い場所を好んで生育します。

利用と文化

クロキは、古くから人々の生活や文化と深く関わってきた植物です。

万葉集: 古代には、板葺きの屋根の材料として用いられたことが、『万葉集』に歌われています。巻第四の779番には、皮がついたままの木材を使用するという珍しい例として、クロキが詠まれています。また、780番にもクロキを詠んだ歌が見られます。
大嘗祭: 大嘗祭において、大嘗宮正殿の柱にはクロキが用いられます。これは、クロキが神聖な木として扱われていたことを示しています。（詳細については、「大嘗祭#大嘗宮」を参照してください。）
十訓抄: 鎌倉時代の説話集『十訓抄』には、筑前国（現在の福岡県）でクロキを使って家を建てたという記述があります。これは、「黒木御所」や「朝倉橘広庭宮」として知られています。
自治体の木: 沖縄県嘉手納町（1982年制定）や鹿児島県与論町（1983年制定）では、クロキが町の木に指定されています。

このように、クロキは日本の風土と文化に深く根ざした植物であり、人々の生活に密接に関わってきました。現在でも、その美しい姿は多くの人々に愛されています。

その他

クロキは、比較的成長が遅い植物です。また、移植は難しいとされています。

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